女性弁護士ゼロワン地区がそんなに問題か?

 11月17日に、

 【全国の地方裁判所の支部管内に事務所を置く女性弁護士が0人か1人の地域(ゼロワン地域)が、今年4~8月時点で、全203支部のうち少なくとも38道府県の102支部あることが16日、共同通信の調査で分かった。】

との報道が、新聞・インターネットで一斉に報道された。

 上記報道について、雑駁な感想を述べる。

 上記の事実を報道するだけでなく、女性弁護士がいないと性被害やDV問題等の相談が出来ないかのような記事を書いている報道機関もあるようだが、私は必ずしもそうではないと思っている。
 確かに相談のしやすさについては、女性同士の方がしやすい面もあるかもしれないが、女性でないと話せない、分かってもらえない、というのであれば、女性が関係する事件については捜査機関・検察官・裁判官全て女性が担当しないとダメだということにもなりかねない。
 離婚事件についても、当事者の一方が女性であれば家庭裁判所の調停委員や裁判官にも女性を必ず入れなければならないことになりかねない。

 逆に、男性側から、男性でないと話せない、分かってもらえないという主張がされたら、それを全て実現しなくてはならないのか。


 いずれも現実的には不可能だし、男性を扱う場合は男性関係者のみ、女性を扱う場合は女性関係者のみというのであれば、逆に性差別を助長しかねない場面が増えると思われる。


 そもそも、弁護士46969人のうち女性は 9678人(20.6%)しかいない。
 司法試験は性差で差別することは一切していないから、弁護士5人に1人しか女性がいないということは、弁護士業が多くの女性に向いていない職業であるか、女性にあまり好まれる職業ではない可能性も高いのだ。

 そもそも、身体の患部を直接見せて診察されたり、検査・触診される医療現場においては、法律相談などの場面よりも女医・女性検査技師等の必要性が極めて高いであろうと想像される。
 しかし、私の知る限り、女医・女性医療検査技師のゼロ問題など聞いたこともない(実際に、「女医 ゼロ問題」 で検索したが、ヒットしなかった)。

 それにも関わらず、今回女性弁護士ゼロワン問題が多くの報道機関で一斉に報道されたということは、誰かの意向が働いているとみるのが一番素直である。

 

日弁連には男女共同参画推進本部があり、第4次基本計画には
 ④ 女性弁護士偏在の解消
 という項目が明記されている。

 弁護士以外の仕事をしている人が、敢えて女性弁護士偏在について物申すとは思えないので、今回の記事は日弁連男女共同参画推進本部の意向であった可能性も相当程度考えられる。

 ちなみに、上記基本計画には、
 ⑦ 性差別的な言動や取扱いの防止
という項目もあげられている。

 弁護士会が公表している社外役員候補者名簿には、男女混合名簿の外に敢えて女性候補者だけの名簿を作成し公表している単位会もある(大阪弁護士会もそうである)。これは、私から見れば性差別的取り扱いだと思われるが、日弁連の男女共同参画のページには女性弁護士候補者名簿へのリンクが堂々と張られていることからすれば、女性に有利な性差別は構わないということなのだろう。

 なお、今回の記事によると地裁の支部管内での女性弁護士ゼロワン地区を調査しているようであり、地裁の支部は県庁所在地から遠く離れた地域が殆どである。
 地裁支部管轄地域は、地域が広い割には人口が少ないなどの理由で弁護士業が成り立たない地域も多い。
 もし、本気で女性弁護士ゼロワン地区解消を目指すのであれば、そのような開業困難地域で女性弁護士に開業を強いることにもなりかねない。

 仮に今回の記事が、私の邪推どおりに日弁連の男女共同参画本部の意向だったとすれば、女性のために男女共同参画を目指す活動が、かえって開業困難地域において女性弁護士開業を強いることにつながりかねないという、皮肉な結果を招く可能性がありそうである。

吹雪の河童橋(写真は記事とは関係ありません。)