損保会社の調査はこわい~3(私の経験から~その1)2020/03/18当事務所HP掲載記事を転載

 私の経験から少し損保会社の調査会社と争った事例(特定防止のために大まかな紹介になります)を紹介しておきましょう。

 一つは、ガスファンヒーターの灯油タンクを玄関で給油し、その灯油タンクを運ぼうとしたところ玄関のたたきでつまづいて転んでしまい、倒れた灯油タンクから流れ出た灯油が廊下の先の部屋で稼働中であった石油ストーブに引火したのではないかという事案でした。

 この中で、損保は自作自演の放火であると主張し、調査会社の調査を根拠として、灯油タンクからこぼれる灯油はそれほど勢いがあるものではないから、廊下の先のほうまで簡単には届かないと主張していました。

 ところが、現実には廊下はわずかに奥に向かって傾いており(古い家ではよくあることです)、しかも躓いて倒れた勢いで灯油タンクを倒したことから、勢いよく灯油タンクから灯油がこぼれた可能性があることがわかりました。

 損保は調査会社の資料であるとして、調査会社が灯油タンクに水を入れて行ったとする再現実験の映像を提出してきました。ところが、調査会社から提出された映像は、すでに倒れている灯油タンクの給油口から、水がこぼれている部分から映像が始まっており、勢いよく倒したかどうか全くわからない映像でした。

 勢いよく倒すか、すでに倒した状態からキャップを外すか、によって全く流れ方は違う可能性があるので、私たちは再現実験で記録された全ての映像の開示を求めました。しかし、調査会社は、映像は裁判所に提出したものしか存在せず、しかも編集は一切していない、それ以上の映像は存在しない、というのです。肝心の灯油タンクをどう配置したのか、どういう状況から水が漏れる状況を撮影したのかという、再現実験として一番大事な部分を映像として記録していない、と調査会社はぬけぬけと主張したのです。

 私たちは、一番肝心な部分がカットされているはずだ、仮に調査会社の言うとおりだとしても一番肝心な部分を記録しない実験方法自体が問題であるとして、実験の信用性疑わしいと主張して争いました。

 裁判の途中で、保険金請求者の方の体調が悪くなり、もうこれ以上ストレスを負のは良くないとドクターストップがかかってしまい、やむなく訴訟を取り下げましたが、未だに相手方調査会社のやり方には、憤りが残っています。

(続く)

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