離婚事件を手がけて感じる男女差~3

<男性は基本、鈍感である>

 離婚調停などで、女性側から離婚を希望する理由を主張された場合に、よく男性側がいうのが、「そのようなことが不満だったのなら、ちゃんと言ってくれれば、いくらでも解決できていたのに。」というものである。

 つまり、女性側は不満を男性に伝えているつもりになっていても、男性は女性からの不満の訴えを、ただのお話しだ、などと思ってしまっている場合が結構多いように思われる。

 例えば、「この間、あなたの実家に帰ったときに、あなたのお兄さんの奥さんから~~ということを言われたの」と、あなたの妻から言われた場合、女性の本心としては、兄嫁の発言や実家での対応について妻としては不満があって、その不満を訴えている場合もあるのだ。

 しかし、それを聞いた男性側は、兄嫁の発言が相当ひどい発言であったとすぐ分かる場合を除き、「ふ~んそんなことがあったのか」と女性の訴えを、ただのお話としてしか聞いていない場合も多い。

 このような場合、女性側としては不満を伝えたと思っているのに、男性側としては事実を聞いただけと感じているため聞くだけで終わってしまうから、女性としては男性に対して、私の不満に対して何らの対策を取ってくれない人だと感じる。
 そして、そのような男性側の態度に対して、女性側が夫は兄嫁の味方なのか、私の味方をしてくれないのか、とさらに不満を募らせるというパターンも多そうなのだ。

 とはいえ、これは男性の鈍感さだけが問題ではないようにも思う。

 女性の発言も、常に不満を解決して欲しい場合になされるわけではなく、なんとなく共感して欲しくて話している場合もかなりの頻度であるからだ。そしてその区別は、話している女性にとっては当然なのであるが、聞いている男性にとってはその区別が難しいことが多いのだ。

 かといって、女性が単に共感して欲しくて話している場合にも、常に問題解決を依頼されていると感じてしまう夫が仮にいたとしたら、家庭内では逆にうっとうしい存在となる可能性が高く、それはそれで問題が大きいだろう。

 ただ、女性の不満を伝えている発言と、普通のお話しとを区別するだけの敏感さが男性には欠けている場合が多い、つまり女性の視点から見れば、男性は鈍感な存在であることを、男女双方が意識しておいたほうが、良いのかもしれない。

 つまり、女性は男性が鈍感であることを認識して、何かに不満があって男性に問題解決を希望する場合はその旨をきちんと男性に明確に伝える方が良いのだろうし、男性も自らが鈍感であることを自覚して、女性の話に何らかの解決を求める意思が含まれていないのかという点について、少しは気を配るよう心掛けると、お互いの行き違いは少なくできる可能性があるようにも思う。

 結局、一言で言えば、男女間のコミュニケーションをしっかりとろう、ということに尽きるのだが、現実は長年一緒に暮らしてきている夫婦にとっても、そう簡単ではないところが、実際の現場だったりするのである。

(この項終わり)

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