表題の面白さから買ってみた本だったが、これは面白い。
教祖とは人をハッピーにする素敵なお仕事だ!
と定義づけ、教祖として、教団として、宗教として何が必要なのか、どうすればその必要なものが手に入るのかについて、既存の宗教の分析を基に軽いノリで語っていく。
宗教教義を解釈する本や宗教を批判する本は、巷にもあるように思うが、宗教を作る側からの視点は非常に斬新だ。
軽いおふざけ口調で、最後までおもしろおかしく話は進んでいくが、あとがきにもあるように、今まで宗教に関して不合理・理不尽と感じられていたことが、意外にも宗教にとっては(場合によっては人間にとっては)何らかの意味があり、実は機能的であったりすることに気付かされる。
人は死んだら仏様になるといっているのに、なんで死んで仏様になった人にお経を唱えるのか?
悪人正機説って矛盾してるんじゃないのか?
なんで南無阿弥陀仏と唱えだけで、すくわれることになるのか?
神社の神様はお賽銭をあげないと救ってくれないのか?
神様って立派な存在なのにどうして、良い行いをしていないと救ってくれないの?そんなに心がせまいの?
などなど私が子供の頃に、宗教に対して漠然と抱いていた疑問にも答えてくれた部分もあり、とても興味深く読ませてもらった。。
教祖は人をハッピーにする仕事。宗教は世界をどう解釈したらハッピーに生きていけるのかという選択肢を与えるもの。
著者(架神恭介氏・辰巳一世氏)はそう語る。
宗教って、そして人間って、こんなモンなんだろうな~、それでも捨てたモンじゃないな~と、少しだけ私をハッピーにしてくれたこの本は、やはりあとがきで著者が記しているように、一つの宗教と言っていいのかもしれないね。
是非一読されることをお勧めする。
ちくま新書 本体価格800円