昨日、ザ・シンフォニーホールで、ハイドシェック(ピアニスト)の大阪公演があった。
既に80歳を超えているハイドシェックの来日50周年記念ということらしいが、私としては、次の機会がもうないかもしれないとも思われたので、是非とも聞いておきたいと考えたのだ。
たまたま最前列中央よりの席がとれたので、5メートル以内くらいで演奏するハイドシェックの姿をながめ、音を聞くことができた。
オープニングの曲で少しひっかかり、やり直すというハプニングもあったが、鼻歌を歌いながら演奏するハイドシェックは、とても楽しそうだった。
音楽を、心の底から愛している人なんだなぁ~ということが、何も飾ることなく直球で聴衆に伝わってくる。真っ直ぐな、しかし、一切押しつけがましさのない、素直さがあたりを充たしていく。
あくまで音楽についてはど素人の私の印象だが、良い感じに枯れていて、ハイドシェックに演奏されて生まれ出る音、それ自体に鮮やかな色はついていないように聞こえるが、その奥底には、音楽や人、そして人生への愛情という彩りが実に豊かに存在している、そんな演奏に感じられた。(あくまで、ド素人の感想としてお受け取り下さい。)
プログラム終了後も、拍手に答えて、アンコール曲(おそらく自分の好きな曲)を5曲ほど演奏しているハイドシェックは終始笑顔で、とても楽しそうだった。
最後には、指揮者からそれ以上の演奏を止められているような様子まで見えた。放っておいたら、ハイドシェックは、大好きな音楽を地球の東の果ての国の聴衆と一緒に、何曲でも共有しようとしたのではないか、とすら思えた。
大阪での公演は終わったのではないかと思うが、まだ他の場所での公演で若干の空きもあるようだ。
機会に恵まれる方がいらっしゃれば、少々の忙しさを押してでも、聞く価値はある、と私は思っている。