司法試験委員が法科大学院に求めるもの~倒産法

今回は倒産法を取り上げる。

(採点実感に関する意見から引用)

5 今後の法科大学院教育に求めるもの
まず,倒産法における基本的な条文,判例及び学説を正確に理解し,身に付けることが最も重要であることは言うまでもない。その上で,修得した基本的な知識を応用し,事例を把握・分析して論点を過不足なく的確に抽出し,論理的かつ一貫性のある解釈論を展開して,妥当な結論を導く能力が求められる。
このような知識・能力の必要性は,倒産法の分野に限られるものではないが,倒産法は,実体法と手続法が交錯する法分野であり,民事訴訟法,民法等などについての幅広い理解・知識が基礎として求められる上,再建型及び清算型手続の異同についても理解することが必要であるなど,総合的かつ多角的な知識・能力が求められる分野である。
法科大学院においては,こうした点にも配意しつつ,上記の知識の修得や能力の涵養を実現するための教育を期待したい。

(引用終わり)

【超訳】~試験委員が言いたいことを推察した、私の意訳

5 今後の法科大学院教育はこうやってもらわな

 まず、なによりもやな、倒産法における基本的な条文、判例、学説を正確に理解させ、身に付けさせたってくれな困る。断っとくけど、「基本的な」部分やで。基本を正確に理解させることが必要やねん。基本を正確にっちゅうことは、どんな勉強でもスポーツでも当たり前のことやわな。いま言うてんのは、応用分野とか先端分野とか些末な論点と違うで。基本中の基本を言うてんねん。簡単に言うたら、基本的なものすらできてへんちゅうこっちゃ。

 それができた上で、その知識を使うて、事案を把握して、よう分析して論点をきちんと抽出して、論理的で一貫性のある解釈論を述べて、妥当な結論を導かなあかん。率直に言うたら、そのスタート地点の基本的な条文、判例、学説の正確な知識と理解ができてへんねん。100m競争で言うたら、スタート前に転けとるのと同じやで。

 ここで言うとる、知識とか能力は法律家としたら当たり前に必要なもんや。倒産法の分野だけの問題やないで。ただ、倒産法には実体法と手続法が混じり合う分野やから民訴や民法なんかの幅広い理解や知識も要るし、再建型だけじゃのうて、清算型手続もあるから、その異同も理解しとかなあかん。結構面倒な分野なんや。せやから、倒産法は総合的・多角的な知識や能力がいる分野やねん。

 法科大学院は、倒産法の性格も考慮に入れて、教育してもらわなあかん。

 なんも難しいことを言うとるのと違うで。法律家として当然必要なことについて言うとるだけや。答案見る限り、まだまだそんな教育を実現出来とらんようやけど、しっかりやってくれるよう期待しとるで(10年かけてこの調子やったら無理かも知らんけど)。

(続く)

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