未だに弁護士増員論を叫ぶ方は、弁護士へのアクセス改善の必要性をその理由に挙げることがある。私は、その理由は、かなり疑わしいと思っている。
それはさておき、先日、中学校の同級生から知人(Xさん)が困っているので、相談に乗ってあげて欲しいとの連絡を受けた。もちろん了承して、Xさんのご相談をお聞きし、解決へのアドバイスをお伝えしたところ、無事事件は終了したそうだ。
私は最近、初めてお出で頂いた方のご相談が終わった後に、
①「初めて弁護士に相談するときに敷居が高い(相談しにくい)と感じますか」、
②「実際相談されてみて、次回も敷居が高いと感じられると思いますか」
とお聞きすることが多い。
私としては敷居を高く設定しているつもりはないのだが、弁護士への相談=敷居が高いと感じる人が多いと云われる点について、事実かどうかを知りたいと思うからだ。
①については、やはり敷居が高いと感じる方は多いようだ。ただその理由としては、
・なんとなく怖そうな気がしたから
・どんな弁護士さんか、分からないから
・賢い人やろうし、バカにされたら嫌だから
・こんな相談、弁護士さんに聞いてもらって良いのか分からないから
・費用がいくらかかるか、分からないから
という回答が多いように思う。しかし、弁護士さんが見つからなくて本当に困っていたというお話しは聞いたことがない。
もちろん、最初に書いたXさんにもこの点を聞いてみた。Xさんの回答はこうだった。
「敷居なんて、全然気にならなかったんですけど、インターネットで調べても、本当にたくさん弁護士さん出てくるし、なんだか良いことばかり書いているから却って怖いな~と思って、知り合いの方に信頼できる先生を紹介して欲しいと頼んだんです。」
おそらく直感的にそう思われたのであろうが、かなりXさんの直感は正鵠を射ている。
インターネットで弁護士を探す際に注意して頂きたいのは、HPは、必ずしも当該弁護士の力量を的確に表現したものとは限らないということだ。
同業者から見れば、「どう考えてもお前、そりゃ嘘やろ!」とか、「そんな当たり前の結果を大戦果みたいに書くな!」なんていう内容を堂々と掲載している例もなくはない。掲載する解決事例なんて、でっち上げたらええネンという弁護士だって残念ながらいたりする。
玉石混淆で弁護士を増員して、当たり外れはあるものの弁護士へのアクセスをとにかく容易にするのが良いのか、例え弁護士アクセスに若干不便があっても人数を絞って弁護士資格をもつ以上ハズレが少ない状況としておくべきか、これは国民の皆様の選択になるのだろう。
とはいっても、司法制度改革は前者を選択して弁護士大増員を実現し、未だにその増員は収まっていないのが現状だ。
司法での解決は最後の手段である場合も多い。
そのような場面で
「ハズレの弁護士を選択してしまったあなたは、残念でした、でもそれは、自己責任ですよ。」
で終わらせて良いのか。
私は、そうあるべきではないと思っているのだが。