先日、これからの司法と法曹のあり方を考える弁護士の会(略称「司法を考える会」)の設立の集いに参加して来た。
記念講演として
1 元法曹養成制度検討会議委員の和田吉弘先生
2 立教大学教授の角紀代恵先生
3 ジャーナリストの河野真樹さん
による講演が行われた。
まず、和田先生の講演だが、法曹養成制度検討会議(以下「検討会議」という。)の内輪話も含まれていて極めて興味深く感じた。
和田先生の、極めて真っ当な御意見は、法曹養成制度検討会議の取りまとめにあまり反映されていない結果になっている。民主主義下では、正しい主張が必ずしも支持を得られない場合もあるが、ここまで問題が大きく且つ明確化してきているにも拘わらず、何故もっと現状をきちんと把握・認識して対応しないのかは、いつもながら疑問に思われる。
なお、和田先生の法曹養成制度検討会議で主張された御意見は、「法曹養成制度の問題点と解決策-私の意見」と題して花伝社から出版(1000円+税)されているので、興味ある方は是非ご参照されたい。
さて、和田先生のご講演内容によれば、法曹養成制度検討会議の前身である、法曹養成制度に関するフォーラムから多くの委員が横滑りで入ってきた理由について、和田先生が質問すると、当局は、「1年で結論を出すという点を重視したからだ」と説明したという。
確かに、法曹養成制度について検討するには、ある程度の知識や現状把握が不可欠であり、早期に結論を出そうとすれば、すでにこの問題に関してある程度把握されている方を優先すること自体は、おかしなことではなさそうだ。
しかし、法曹養成制度検討会議のとりまとめは、ほとんどの論点について先送りするだけの内容になってしまっている。せっかく1年で結論を出すために多くの委員を横滑りで入れたのに、結果を見れば、結論先送り(消極的な現状維持肯定と言って良い)の内容しか出せていない。
これまで、抜本的改革を何らできずに、理念は正しいなどと言い張って法科大学院維持を金科玉条として会議を続けてきた方々が、中心メンバーにたくさんいるのだから、ある程度この結論自体予測できていた方も多いのではないだろうか。
ただ、法曹養成制度の改革は待ったなしなど、一方では勇ましいかけ声をかけながらスタートしたものの法曹養成検討会議は、結果から見れば、結論先送り、時間稼ぎのために看板を掛け替えただけだったのではないかと言われても仕方がないように思う。本気で当局が法曹養成制度改革を実行しようと思っていたのであれば、おそらく、今までのフォーラムの委員は外すべきだったし、外されていて当然だった。これまで現状維持しかできず、大した改善策も打ち出せなかった委員達だからだ。
ところが、当局は、フォーラムから多くの委員を横滑りさせた。そして結果的に結論先送りが実現された。これは、当局の意図が実現されたような気がしてならない。
でも、よく考えて見ると、我が国において、有識者の意見を聞くと言って有識者会議を開きながら、公平な人選がなされた例は少ないようにも思う。少なくとも人選する側の意図通りの発言をする委員が多く選ばれ、一応、形の上では公平な議論がなされているかのように仮装される。これは日弁連の委員会においても同じような気がする。
(続く)