日弁連新聞

今日、日弁連新聞が届いた。
新聞といいながら基本的には月刊だ。日弁連でこんなことをやっているという報告が多く、一般の弁護士さんからすれば「ふ~ん、俺にはあんまり関係ないな」で終わることも多いのではないだろうか。

だが、今回は、1面下部にちょっと見逃せない記事が出ている。
「シンポジウム 司法試験と予備試験のこれから」という記事だ。

記事を読むと、正直がっくりだ。

あれだけ問題点を指摘され、法曹養成制度権等顧問会議でも、あれだけアンケート結果でのだめ出しや、最高裁・検察庁の意見を代弁していると思われる顧問から(上品に)非難を受けていながら、日弁連は何故か法科大学院制度は素晴らしいものと信じ切っているらしく、法科大学院制度と心中するつもりらしい。

パネリストに法科大学院関連の教授だけを呼んでくる時点でもう終わっている。賛否両論の論客をパネリストとして招待してやった方が、シンポジウムとして面白いし、お互いためになるだろうに。言っちゃ悪いが、予備試験を欠席裁判にかけたのと変わらないのでは、と思ってしまう。

兵庫県弁護士会は2011年2月に、弁護士大増員をテーマにシンポジウムをやろうとしたところ、平等に賛成派、反対派にパネリストになって頂けるよう声をかけていた。ところが、増員賛成派のエライ先生方の都合が軒並み急に悪くなったそうで、やむなく増員に賛成できない方が多数を占めるパネリスト構成になったことはある。しかし、一応平等に招待はしていたように思うぞ。

それはさておき、日弁連新聞の論調も、かなり法科大学院寄りに偏向している。

京大の土井教授は予備試験について「『法曹への最短ルートとなっており、すでに当初の目的とかけ離れた制度と化している』と厳しく批判した。」と記事にはある。わざわざ「厳しく」と書いているところからも、日弁連新聞の偏向ぶりが分かるではないか。

しかし、先日のブログにも記載したとおり、日本の名だたる大手事務所が予備試験合格者を、司法試験合格前から優遇して囲い込もうと奔走している。

この現実を、土井教授・日弁連はどう考えるのだろうか。

http://www.idea-law.jp/sakano/blog/archives/2014/01/24.html

法科大学院が当初の目的通り、素晴らしいプロセスによる教育とやらで、質・量とも豊かな法曹を生み出しているのなら大手事務所が予備試験合格者に群がるはずがないではないか。

法科大学院こそが「実務界から全く評価されておらず、すでに当初の目的とかけ離れた制度と化している」と厳しく批判されても仕方がないように思うんだけど。

エライ大学教授の先生方は、遠くを見通しておられるつもりなのかもしれないけど(それだって正しいかどうか誰にも分からない)、足下は見えてないのよね、多分。

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