法曹養成制度改革顧問会議第2回議事録から~その1

法曹養成制度改革顧問会議の第2回議事録を読んでみた。

前回の会議で、有田顧問から次のような質問があった。

○有田顧問

平成22年の司法試験合格者は3,000名にするという目標が立てられたということで、そのときに法曹人口はどうあるべきだったのか、どういう予測をされたのか。そのときの予測のファクターになったものは一体何なのかということも、当時の関係の資料がもしございましたら、それが今とどうかい離しているのかということも合わせて勉強したいと思いますので、その辺のところをできればお願いしたいと思います。

この質問に、今回、法曹養成制度改革推進室の松本副室長が次の通り答えている。

さらに、前回、司法制度改革の当時、司法試験の年間合格者数3,000人という目標を立てるに際して、どのような予測に基づいていたのかという御質問がございました。

この点につきまして、司法制度改革審議会におきます議論を遡ってみましたところ、当時の諸外国、諸外国というのはアメリカ、イギリス、フランス、ドイツでございますが、当時の諸外国の弁護士1人当たりの人口を比較しました上で、日本の法曹人口をこれらの諸外国、英米独仏の中で最も少ないフランス並みにするとすれば、5~6万人に増やさなければいけないということから、それを前提として、増やすペースをどのようにするのかという点につきまして、平成30年頃には5万人程度に達するという数値として、年間3,000人という目標になったと考えております。もっとも、そのような議論の際に、どのような分野でどのくらい需要が拡大するから、この5万人が必要なのだといった根拠となるような具体的な数字、あるいはその根拠というものは、我々がチェックした限りでは見当たりませんでした。

(分かってはいたが改めて明示されたとおり)法曹の増加が必要と言いながらも、本当に必要なのか、必要ならどの程度の増加が必要なのかなど、重要な点については、具体的な検討は一切されなかったのだ。

強いていうなら諸外国との(しかも、司法書士・税理士・不動産鑑定士等の隣接士業の存在を無視した)比較のみ。

言っちゃあ悪いが、雰囲気と思い込みだけで決めたんだろといわれても文句の言えない状態だろう。だって、具体的な根拠がどこにもないんだから。

そんな安易な議論で三権の一つである司法権を大いに弱体化させる危険性のある人材の枯渇を招く事態を招来したんだから、当時の司法制度改革審議会の委員は、昔なら、「腹を召しませ」といわれてもしょうがないんじゃないか。

(続く)

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