ロースクール授業参観記~その6

その後、教員から口頭で、株主総会決議省略・取締役会決議省略の比較問題、株主総会への報告の省略・取締役会への報告の省略に関する比較問題が出題された。

問題自体は面白いと思ったが、会社法の基本構造も分からない院生が混じっているのに、この質問は、ほぼ無理だろうとS弁護士は直感的に思った。

案の定、教員が何人指名しても、まともな答えは出てこなかった。教員はさんざん誘導しようと努力していたが、結局、院生はまともな答えができず、何の議論にもならなかった。

四則計算もできないのに、いきなり微積分は理解不能だ。本当に、教員は院生のレベルを分かっていないのか、分かっていてもカリキュラムの都合上、理解できない講義でもやらなきゃならないのか、どっちかだ。

ソクラテスメソッド、破れたり!
いくら理念が素晴らしく、方法が素晴らしいと言い張ってアメリカの猿まねをしても、優秀な法曹を生み出せてこそ意味がある。基礎的知識もないうちからソクラテスメソッドと称して質問してみても、時間の無駄。何の効果も上げられない方法では意味がないだろう。

聞くところによると、大手法律事務所は予備試験経由の合格者を優先的に採用しているという。仮に法科大学院が身に付けさせてくれるものが、法曹として本当に必要不可欠なものであるならば、大手法律事務所だって、予備試験ルートの合格者よりも法科大学院経由の合格者を選ぶはずだ。何故なら、法科大学院の理念からすれば、予備試験ルートの合格者には法科大学院がなければ身につかない(?)法曹として必要不可欠の何かがかけていることになるはずだからだ。
つまり、法科大学院が身に付けさせてくれるといわれている、豊かな人間性やら、教養やら、人間性やら、リーガルマインドといわれるものなんて、大手事務所からすれば、もともと個人の資質の問題であると考えているか、所詮はその程度、実務上は役立たず、畳の上の水練、全くの無用の長物、と言っているのと同じである。

もっと直接的に言えば、法科大学院の教育を大手法律事務所は評価していないといっても過言ではないだろう。いくら立派な工場を構えて、立派な製品を生み出していますと自称したところで、消費者に評価されない製品しか生み出せないのであればその事業は失敗である。
ごく当たり前のことだ。
日経新聞だって、法科大学院以外の問題なら、いつもそういうんじゃないか。日経新聞とすれば、大手法律事務所が予備試験経由の合格者を優先採用している事実(仮にそれが本当に存在しているのであれば)をつかんだのなら、本来は法科大学院の存在意義を問うなど法科大学院批判に回るべき立場のはずだ。それが事実に即した報道だろう。

しかし、日経新聞だけではなく大手マスコミは、それをやらない。法科大学院擁護の意見ばかり社説に載せる。
以前も言ったが、公認会計士試験の合格者は、一時期増加されたが、その後、需要がないということもあり、一気に減らされている。それを批判したマスコミがあっただろうか。公認会計士を増やすことになったのも、司法改革と同じような理由からだった。だとすれば、マスコミは公認会計士試験の合格者減はおかしいと主張していなければならないはずだ。
一方日弁連が司法試験合格者の増加ペースをダウンさせるべきと主張した際に、大手マスコミはこぞって、日弁連批判をした。穿った見方かもしれないが、法科大学院は新聞広告等を行うなどして、マスコミにとっては良いお客さんだ。法科大学院制度を批判して、もし法科大学院制度がつぶれたら、広告収入が減るだろう。社説と言いながら、単に法科大学院に存在していて欲しい立場だからじゃないのか。

こんなことを考えながら、会社法の授業を聞いていたS弁護士であるが、次の民法の講義でさらに、法科大学院大丈夫か?の思いを強くすることになる。

(続く)

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