ロースクール授業参観記~その1

大阪弁護士会からの案内で、某法科大学院の授業を見学する機会に恵まれた。
私は、これまで法科大学院制度反対の態度を取ってきた。時折誤解される方がおられるので念のため申しあげておくが、私は確かに、関西学院大学大学院法学研究科の非常勤講師も務めさせて頂いてはいるが、この大学院は法科大学院ではなく、修士課程の方なのだ。
その点ではきちんと、態度としては一貫しているつもりだ。

さて、授業参観当日、S弁護士は、集合場所と指定された法科大学院の建物に向かっていた。関西では誰もが知っている有名な大学だ。

近くの駅を降りると、いきなり、黄色に輝く伊藤塾伊藤真塾長の笑顔ドアップの大看板が立っていたりする。正門近くにはLECもあるようだ。営利社団法人の予備校が需要がないところに広告を出すはずがないので、この大学は伊藤塾やLECからは相当な需要が見込まれると判断された大学なのだろう。有名大学だし当然といえば当然だけど。懐かしいことに、大学浪人時代に足繁く通っていたゲーセンも数軒、まだこの界隈では生き残っているようだ。

秋とはいえ、あなどれない日差しを浴びて坂道を上る。途中、100円の自動販売機でお茶を買おうとしたら、売り切ればかりで、仕方なく130円で「綾鷹」を買うはめになった不運を嘆きながら、集合場所とされた法科大学院の建物へ急ぐ。

今ひとつ分かりにくい学内地図を見てようやく待ち合わせ場所の建物を発見した。

入ってみて驚いた。
ずいぶんと、立派なのだ。
シックな椅子が置かれた待合?の天井にはステンドグラスのような美しいガラス装飾が施されており、天井も高い。張り紙などもなく、清潔な印象だ。学生の密度が少ないのか、大学特有のがやがやした雰囲気もない。

私が在籍していた当時、外部の講師の方が「(教養部について)宇宙一汚い大学じゃないの」と宣った京都大学なんかよりも、はるかに学問の香りが漂っているんじゃなかろうか。
学究の塔は、こうでなくっちゃ、という感じである。

S弁護士は、そこで、大阪弁護士会の授業参観希望の先生方と合流する。
ところが、意外な事実が。
S弁護士は、大学までの、だらだら坂を汗をかきかき登ってきたのだが、何とエスカレーターがあったというのだ。多くの先生方は、当然そちらを利用したとのことだった。

完全に予習不足、情報不足だった。

誰もが認める人格者でいらっしゃる、森恵一先生が、Sさんは真っ正直だからと慰めて下さったが、S弁護士の気持ちは収まらない。

これでは、古文で習った、仁和寺を見学しようとして、末社などだけ見て満足して帰ってしまった僧のようではないか。

すこしのことにも先達は、あらまほしきことなり、吉田兼好は偉かった。

(続く)

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