弁護士の事務所のことを弁護士事務所と呼ばれる方もいますが、実際には「法律事務所」と名乗らなければなりません。これは、弁護士法20条1項に定められているものです。
そればかりではなく、日弁連では、法律事務所等の名称に関する規程があり、他の弁護士と誤認されるおそれのある名称を使ってはいけないとか、品位を損なう名称をつけてはならない、等の禁止規定があります。弁護士過剰時代となった現在では、法律事務所の名称でクライアントに覚えてもらおうという営業戦略をとる弁護士もいると聞いています。
現在、日弁連の方から、この名称規程に関する改訂についての意見照会が各単位会に来ているはずです。この意見照会には、以下に見るように多くの禁止項目があります。
・勝訴確実法律事務所
・格安法律事務所
・元特捜検事法律事務所
・日本一法律事務所
→奇異、低俗または過度の期待を抱かせるものであり、品位を損なうものと認められる例
・えんたーていめんと法律事務所
→ひらがな表記により不真面目な印象を与え、かつ、法律事務所にそぐわない意味を有するから望ましくないと認められる例
・まいどおおきに法律事務所
→営業を行うものではない弁護士の法律事務所名称としては相応しくなく、弁護士が商売優先であるかのような印象を与え、事務所名称としては奇異または低俗であり、品位を損なうものと認められる例
【例】 地獄、悪魔、死神などの語句を用いた法律事務所
【例】 差別用語、性的な用語などを用いた法律事務所
→上記の例に掲げる用語を用い、事務所名称としては奇異または低俗であり、品位を損なうと認められる例
・織田信長法律事務所(自己の氏名が織田信長である場合は可)
→自己の氏名以外の氏または氏名を用いると混乱を生じることから品位を損なうと認められるもの。
・交通事故法律事務所
・相続・遺言法律事務所
・債務整理法律事務所
・経営再生法律事務所
→固有部分が付加されていても、当該特定の取扱業務の専門化の法律事務所であるとの外観を生じるおそれがあるため望ましくない例。
・刑事法律事務所(氏名、地名等の固有部分がある場合を除く)
・特許法律事務所(氏名、地名等の固有部分がある場合を除く)
・知財法律事務所(氏名、地名等の固有部分がある場合を除く)
・遺言相続法律事務所(氏名、地名等の固有部分がある場合を除く)
→氏名、地名等の文言を付加せずに取扱分野の文字と、法律事務所の文字のみで構成され、当該分野の専門家であるとの外観を生じるおそれが高いこと、および特別な種類の法律事務所であるかのような名称であり、弁護士会がそのような種類の法律事務所を認めているかのような外観が生じることから相当でないこと、他の会員の名称使用制限される範囲が広くなりすぎること等に鑑み品位を損なうものと認められる例。
(続く)