法曹人口政策会議終了~その5

 これまで4回にわたり、法曹人口政策会議についてご報告してきた。

 私の報告が、一方的な私の立場に基づいた私見にすぎないとの御批判もあるかと思うが、私としてはかなり公平に、お伝えしてきたつもりだ。

 私の報告が、決して独断と偏見に満ちた一方的なものでないことを、お分かり頂くために、法曹人口政策会議に出席されていた31期の先生から頂いたご感想を、以下に添付させて頂く。

 ちなみに、この感想を書かれた先生は、非常に温厚で、優しく、いつも上品な態度を崩さない先生であり、かなり感情的且つ戦闘的な態度をとっていた私とは、全く毛色が違う先生である。

(以下、頂いた感想)

法曹人口問題をめぐって              

約1年半、日弁連法曹人口政策会議の委員として取り組んできて、痛感したこと

1. 2年前、法曹人口問題は、選挙公約に「合格者1500人」を掲げて会長に当選したからといって、直ちに日弁連として「1500人」と表明して動ける問題ではなかったこと。 

 法曹人口問題は、日弁連の内部で激しい意見の対立があった。日弁連としての1500人の合意形成ができないまま会長だけが走っても、内部からも外部からも攻撃され、力にならなかっただろう。日弁連の中では、2000年臨時総会決議以後、これを変更する決議や合意は存在しなかったのだから。 

 旧執行部時代は、2000年臨時総会決議(いわゆる3000人決議や法曹養成に関する決議)の内容を見直そうとしなかった。見直すことを可能にする組織(全部の単位会の意見や、合格者数減員の意見をも包摂する組織)は、作られなかった。 宇都宮さんが、会長就任1年目の夏に立ち上げた「法曹人口政策会議」は、委員構成を、日弁連理事全員(全部の単位会の意向を反映できる仕組み)、各弁連から選出の委員、会長指名枠の委員とした。従来の執行部であれば委員に選出されなかったであろう意見の持主も選任された。

 つまり、日弁連の中で意見が大きく分かれている問題を、正面から議論を尽くさせることで、日弁連としての合意形成を追及する、というのが宇都宮さんの姿勢だった。日弁連としての意見をとりまとめることが、外部に打って出る時の武器になる、という発想と思う。大事なことだ。

2. 合意形成の大変さ、その中でも合意をかちとってきたこと 

 日弁連の副会長も日弁連の理事も、各単位会や弁連からの選出なので、そちらの力関係が大きく作用する。その中で、会内民主主義の姿勢を宇都宮さんは貫いてきた。まどろっこしいという批判を言うのは簡単だが。 

 法曹人口政策会議の1年目(夏からなので実質的には半年位)は、本当に大変だった。審議会意見書と2000年決議を楯に、「需要はまだまだある」「法の支配を社会の隅々に」等、「減員」の取りまとめを否定する姿勢の委員が何人もいた。激論につぐ激論を経て、昨年3月の中間とりまとめ(緊急提言)で「合格者数を相当数減員」と明記し、日弁連として初めて「合格者減」に舵を切ることができた。何としても方向を転換させるという、宇都宮さんの決意があったから、たどりつけたこと。

 人数を明記できなかったのは、この時点ではまだ人数の合意が形成できなかったからだ。中間とりまとめの激論の過程で「1500人」への減員にすら反対していた人たちが、今、宇都宮さんの続投を否定している。

3.東日本大震災・福島原発事故とタイムスケジュールの遅れ 

 宇都宮さんの予定では、昨年3月の理事会でこの緊急提言を採択した後、任期2年目の前半で、全国各地で市民シンポやマスコミとの意見交換、議員との懇談などで世論に働きかけつつ、並行して人数を明記するとりまとめをして、それを武器にさらに外に打って出る、というタイムスケジュールだったと思う。 ところが、3月11日の東日本大震災と福島原発事故が起きて、救済のための活動に忙殺されたのも勿論だが、一見多額の国家予算を使うように見える給費制の維持の運動に大変な逆風が吹き、法曹人口問題もシンポ等がやりにくい社会情勢となってしまった。そのため、最終とりまとめ案(各単位会や関連委員会に照会する案)が昨年12月になってしまった。

4.司法試験合格者の減員について「まず1500人」の合意が形成できたこと 

 昨年12月の法曹人口政策会議では、議論の末、主文に「まず1500人に減員し、更なる減員については…検証しつつ対処していく」、理由の中で「相当数の各弁護士会及び連合会が1000人にすべきだと決議している。これらをふまえ…」と入った。法曹人口政策会議の1年目当初では「減員」明記に反対意見があったが、「相当数減員明記」(昨年3月)→「まず1500人明記。更なる減員への言及」(昨年12月)にまで、増員論者も受け入れざるをえない状況を作ったのは、宇都宮さんの姿勢があったからだ。また、宇都宮さんは、適時に、急増による深刻な影響を自ら記者会見をして情報公開するなど積極的に行動し、マスコミの論調の変化(急増に対する問題意識)等を引き出したし、議員の中でも理解が広まっている。

  そして、「1500人明記」の方向性が見えた途端に(これは宇都宮さんの実績なのだが)、会長選挙で3人が「1500人」表明と、一見すると争点が無いかのような形になった。しかし、その内実が重要だ。

5. これからが法曹人口問題にとって勝負どころ 

 「まず1500人」のとりまとめは出発点。日弁連として初めて合意できたことを武器に、いかに本気で実行していくかがカギだ。そうしてこそ「更なる減員」への展望も開ける。宇都宮さんは、法曹人口・法曹養成問題について実現本部を新たに作り、自らその運動の先頭に立ち、全ての単位会とともに実現に取り組む、と決意を表明している。風通しのよい手法だ。本当の意味で運動の意義をつかんで離さない宇都宮さんでこそ、減員が実現できると思う。また、給費制の運動や東日本大震災・原発事故への取り組みなどの中でつちかわれた、市民団体との結びつきや広範な人たちの日弁連への信頼も、今後の日弁連にとって大切な財産だ。 

 法曹人口政策会議の1年半を通じて痛感するのは、「司法改革」全般を是とし推進してきた人たちの意見は基本的に変わっていないということ。それで「協議路線」で行くのでは、「協議したけどダメでした」ということになってしまい、法曹養成フォーラムの動きに対しても「協議路線」では逆に相手の意見を呑まされてしまうことを、危惧する。

(感想ここまで)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です