日弁連での異例な意見交換会~その1

 日弁連の委員会に出たことがある方でないと、おそらくご存じないと思うのだけれど、日弁連は極めて強烈な縦割り行政に近い運営がなされている。

 具体的には、法曹人口問題は法曹人口問題政策会議、法曹養成問題は法曹養成制度検討会議、法科大学院関係は法科大学院支援センター、で議論されており、相互に密接に関連するはずなのに、ほとんど具体的な意見交換はなされない(若干の委員の兼任はある)。

 だから、法曹人口問題政策会議が司法試験合格者減員(増員のペースダウン)の緊急提言を採択しても、同時に法曹養成検討会議が「法科大学院を中核とする法曹養成制度の堅持」に関する緊急提言などを行って、一方の緊急提言の意味を減殺し、平たく言えば足を引っ張ることが可能となっている。

 法曹人口問題政策会議では、これまで1年以上にわたり、法曹養成検討会議や法科大学院支援センターと意見交換させろと何人もの委員が申し入れてきたが、法曹人口問題政策会議の委員のうち数名を、別の委員会に派遣するから意見交流はできているという論法で、その申入れが拒否されてきた。せめて傍聴をさせて欲しいと、直接会長に某委員がお願いし、会長の了承が出たにもかかわらず、その後、理事会の決定か委員会の反対か、理由ははっきりとは分からないが、その日弁連会長の了承すら反故にされてしまったこともあるくらいだ。

 意見交流が拒否されてきたのは、法曹人口問題政策会議がこれまでの日弁連の委員会と異なり、極めて異質な構成を取っていることがまず理由に挙げられるだろう。

 これまでの日弁連の委員会は、日弁連の意向に沿った委員が(各弁護士会などから)選定され、日弁連執行部向きの結論ありきで委員会が運営されていたように見える。

 宇都宮会長が設置した法曹人口問題政策会議以前の、つまり宮﨑誠会長時代の法曹人口問題に関する委員会を傍聴したことがあるが、あれだけ新人弁護士の就職難など、増員の弊害が出ているのに、現状維持で十分大丈夫だよね、という極めて危機感もなく、議論にもならない発言が相次いでいたので驚愕した覚えがある。

 あまりの危機感のなさに、傍聴者ではあるが、休憩時間に議長に説明を求めてしまったくらいだ。

 ところが、宇都宮会長が設置した、法曹人口問題政策会議は、従来から法曹人口問題について懸念を表明していた各地方の弁護士も委員に加え、公平・公正な委員構成を取った、極めて画期的な会議だ。この会議では、法曹人口問題について、ペース維持派とペースダウン派が相当激しく議論しあってきた。これまでの日弁連イエスマンばかりではなく、本当に真剣に法曹人口問題を考える委員がたくさんいる。増員ペース維持派が論破されることも多いように思う。

 逆に言えば、会議で真剣に議論がなされるため、執行部としては、運営や意見をまとめるのに相当苦労する会議であることは間違いない。そのため、法曹人口問題政策会議と、他の委員会との意見交換をやれば、かなりの紛糾可能性があることを執行部としては危惧していたのだろう。

 しかし、11月1日、ようやく、意見交換会が開催された。これは宇都宮執行部の英断であり、他の会長では実現できなかった可能性が高い。それだけ、日弁連の縦割りは強烈なのだ。

(続く)

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