ポスティングとは、ウィキペディアによると、「広告・宣伝を目的に、ビラやチラシを、各個宅の郵便受けへ直接投入する行為。 主な業種は、飲食店、通信販売、貸金業、不動産会社など巾が広い。」とされている。
先日、私が住んでいる京都市内の賃貸住宅に、東京の某法律事務所のリーフレットが、ポスティングされていた。【暮らしの中の法律「お金の(得)話」】と表題にあるが、中身は、結局過払いの話が大半であり、過払い金事件を集めるための広告のようだった。しかも、そこには、専門家が面談するとは書いてあるが弁護士が面談するとは書いていない。
確か、日弁連の債務整理事件処理規程では、特段の事情がない限り、弁護士の直接の面談が必要だ。大阪の弁護士が京阪神地域にポスティングをするならまだ分かるが、多重債務に苦しむ京都の人がどうやって東京まで面談に行くのだろうか。
遠隔地で広告しておきながら遠隔地であることを理由に、特段の事情があるので面談しない、という理屈をつけるのであれば、結構、危ないやり方ではないのかと思った。
しかし、いくら理想を掲げても、現実には勝てない。経営に困れば、そういう危ないやり方でもとにかく稼がなくては、生きてはいけない。その場合、弁護士との意思疎通がきちんと図れない場合等、被害を被るのは結局、依頼者になりかねない。
この間、法律相談で、時間が余ったときに相談者が雑談で、「そういえば、最近では、サラ金のTVCM以上に過払い金のCMを見るような気がする。」といっていた。注意して見て頂くと分かるが、TVCMを出しているのは、弁護士ばかりではなく、司法書士も相当多い(非常に紛らわしいので、よく誤解されるが、弁護士の事務所は「法律事務所」であり、「法務事務所」ではない。)。
TVCMは当然無料ではない。聞くところによると相当高額な費用がかかる。そしてその費用を、広告主が自腹を切るはずがない。かけた広告費は、当然依頼者からの手数料で回収される。高額な広告費がかかっても、それ以上に儲けるために、広告をしているからだ。つまり、多額の費用を掛けてTVCMをすることは、その広告費を必然的に顧客から取り返すことの裏返しでもある。
特に、司法書士が法律上扱えるのは、140万円を超えない事件だから、弁護士会の基準だと1件あたりの手数料(費用)は、さほど高額にならないのが普通だ。だから冷静に考えると、よほど大量に事件を受任するか、1件あたり高額な手数料を徴収しないと、高額なTVCMをあれだけ頻繁に流すことは出来ないことになる。
債務整理に限らず、一番良いのは、お金のかかっている広告を信じて依頼するよりも、本当に信頼できる弁護士に依頼することであるのは、変わりがないと思う。