王様は裸だ!

 今日現在で、私の出した公開質問状に、法科大学院特別顧問奥島孝康氏は、何らの返答も返してこない。一応、お忙しいかもしれないということで、私の設定した期限からさらに1週間経過するまで待ってみたが、結局本日現在、返答は届いていない。

 私は以前、当時の日弁連会長平山正剛氏に公開質問状を出したことがあるが、その際には、具体的な回答はなかったものの、一応、具体的には回答できない旨の、返事はあった。平山氏は、最低限の礼儀は守ってくれていた。

 行き違いなら大変、失礼なことをいうことになるが、結局私の質問に答えられないということは、奥島氏の朝日新聞での発言は、現状認識をせずに、でまかせで仰ったとの疑いを掛けられても仕方がないように思う。

 そればかりか大マスコミで、堂々と意見を公表しながら、その根拠や意見に反する記述について問うと、無視して答えない(答えられない?)というのは、法科大学院協会特別顧問という責任ある立場にある者として、また教育者としていかがなものか、と思わざるを得ない。

 都合の悪い事実には、目をつぶり、質問にも答えないというのでは、到底責任のある立場、しかもその立場の肩書きを利用してマスコミで意見を発表される方の態度とは思えない。

 以前も書いたが、法科大学院が合格者を増やせという点で良く持ち出す閣議決定で想定されていた法科大学院とは、「豊かな人間性や感受性、幅広い教養と専門的な法的知識、柔軟な思考力、説得・交渉の能力等に加えて、社会や人間関係に対する洞察力、人権感覚、先端的法分野や外国法の知見、国際的視野と語学力、職業倫理等が広く求められるいことを踏まえ、法曹養成に特化した教育を行う法科大学院を中核とし・・・・」と記載されていることから分かるように、夢のような法科大学院がイメージされていた。

今後の法曹には、

①豊かな人間性と感受性

②幅広い教養と専門的な法的知識

③柔軟な思考力

④説得・交渉の能力

⑤社会や人間に対する洞察力

⑥人権感覚

⑦先端的法分野や外国法の知見

⑧国際的視野と語学力

⑨職業倫理

 が必要なところ、法科大学院(夢)はそれを踏まえた法曹養成を行うのだから、①~⑨を身につけさせてくれるところとされている(法曹養成制度の中核の法科大学院がそうでなければ、閣議決定に書いた意味がないからである)。

 ご自分がマスコミで語った内容について、責任ある返答が出来ない方に、①~⑨を教え、学生に身につけさせることが本当に出来るのだろうか。

 ただでさえ、新司法試験の採点雑感で、受験者のレベルダウンが危機的状況に来ていることが伺えるのに、どこまで行っても、法科大学院制度が正しいので維持するというのは、いくらなんでも、ひどすぎやしないか。

 誰かが、王様は裸だ!といってやらないと目が覚めないのだろうか。

 まさかとは思うが、そう指摘しても、裸であることをどうしても認識できていないのだろうか。

 もしそうなら、そんな方々が教授されている以上、法科大学院制度(夢)が目指した①~⑨の相当部分が欠落した法科大学院制度(理念と全くかけ離れた法科大学院)が、現状では、まかり通っているということになるような気もするのだが。

※なお当ブログの記載は、当職の個人的意見であり、当事務所の他のいかなる弁護士にも関係はございません。

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