プロセスによる教育ってなんなんだ?~その4

(続きです)

「新しい法曹への道」は一つではなくなります。他学部で学ぶ、あるいは社会人経験を積んだあとで法科大学院に進むことも可能です。つまりあらゆる人に法曹になるチャンスが広がることになります。」

 おいおい、ここまでくると、もはや悪い冗談でしょう。

 旧司法試験は、受験資格は制限されていませんでした。仮に中学校しか出ていなくても、1次試験に合格すれば誰でも受験し、合格することが出来た、最も開かれた試験だったのです。他学部出身者も、社会人経験者の方も当然いました。会社に通いながら何年間も勉強を続けて実力を貯えて合格される人もいました。

 それに比べて今は、原則として大学を卒業の上、法科大学院を卒業しないと新司法試験を受験することすらできないのです(予備試験というルートが出来ましたが、このルートは、例外的にするべきと法科大学院側は強硬に言っています)。法科大学院を出ても、5年間で3回失敗すると受験資格すらなくなります。それでも法曹になりたければ、高いお金を出してもう一度法科大学院で授業を受けて卒業しなければ、新司法試験を受験できません。

 つまり、法曹になろうと思っても、法科大学院に通えるだけの経済的・時間的余裕がないと新司法試験すら受けられません。仮に奨学金をもらって法科大学院に通っても、当然ながら新司法試験の合格の保証はありません。合格できなければ、借金が残るだけです。

 仕事をしながら受験しようと思っても、近くに夜間の法科大学院があって、会社の理解があって、そこに通うことが出来なければ、会社を辞めてチャレンジするしか方法がないのです。しかも夜間の法科大学院はそれこそ数えるほどしかありません。法科大学院が儲からないから、夜間コースをなかなか設置しないのです。

 結局法科大学院制度は、あらゆる人が法曹になれるチャンスがあった旧司法試験をぶちこわし、高いお金を出して、時間を掛けて法科大学院に通い、そこを卒業した人だけに法曹になれるチャンスを与えるという、極めて競争制限的な閉ざされた制度になってしまっています。

 どこからどう見ても、法曹になれるチャンスを狭めているとしか言いようがありません。法科大学院の言い方をもじって言えばこうなります。

「つまりあらゆる人が法曹になれるチャンスを、(法科大学院制度が)つぶしたことになります。」

 ちなみに法科大学院において、非法学部出身者及び社会人の割合も年々減少傾向(H16とH22を比較すれば社会人の入学は48.4%→24.1%に半減) にあります。

 H18~H20の新司法試験では非法学部率は約11~23%、

 平成15~19年度の旧司法試験でも非法学部率は約15~23%(ちょっと古い資料しか見当たらず)

 この資料から見る限り、新司法試験になったから多彩な人材が確保出来るようになっているとは到底言えません。

現実を見れば、法科大学院擁護派が言っていることは、相当おかしいんじゃないですか?

ps 法科大学院協会特別顧問奥島孝康氏に対しお送りした、質問状に対する回答は、本日現在届いていない。私としては、奥島氏が直接体験したであろう、

(奥島氏が言うところの、)「地方では法的トラブルが発生しても弁護士が少ないため、ヤクザや地方の有力者に仲裁を頼んで紛争を解決する人がたくさんいます。」

という、たくさんいらっしゃる方々について、一刻も早く 、その方々の居住地の弁護士会に連絡して救えないかと思っているのだが(質問状4②参照)、一向にご連絡を頂けていないのが残念だ。

 6月20日までに回答を求めたが、奥島氏もお忙しいだろうし、20日の消印で発送されているかもしれない。もうしばらく待ってみようと思う。

※記載内容については、全て執筆者の個人的な見解に基づくものであって、当事務所の統一した見解・意見ではありません。

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