法曹の養成に関する制度のあり方について、検討を行うため政府に「法曹の要請に関するフォーラム」が平成23年5月13日に発足しました。
構成員については、【関係政務】委員以外の有識者が公表されていました。
座長 佐々木毅 学習院大学法学部教授
伊藤鉄男 弁護士(元次長検事)
井上正仁 東京大学大学院法学政治学研究科・法学部教授
岡田ヒロミ 消費生活専門相談員
翁 百合 株式会社日本総合研究所理事
鎌田 薫 早稲田大学総長・法学学術院教授
久保 潔 元読売新聞東京本社論説副委員長
田中泰郎 明治大学法科大学院法務研究科教授(元札幌高裁長官)
南雲弘行 日本労働組合総連合会事務局長
丸島俊介 弁護士
宮脇 淳 北海道大学公共政策大学院長
山口義行 立教大学経済学部教授
の12名となっております。
このうち、佐々木毅氏は、法科大学院協会顧問、オリックス・JR東日本・東芝の社外取締役を兼ねておられるようです。
伊藤鉄男氏は、山梨学院大学法科大学院の客員教授。日本有数の巨大法律事務所である西村あさひ法律事務所に所属されています。
井上正仁氏は、司法制度改革審議会で強力に法科大学院制度を推進し、法科大学院創設に尽力した方。
鎌田薫氏は、法科大学院協会副理事長、日本有数の巨大法律事務所である森・濱田松本法律事務所の客員弁護士も勤めています。
田中康郎氏は、現役の法科大学院教授。
つまり12人中5名が法科大学院の関係者。さらに、法科大学院と利害を同じくすると考えられる大学関係者の方が、宮脇淳氏と山口義行氏。これを合わせると、ほぼ確実に法科大学院賛成と目される方で有識者の過半数。
このような人選で、本当に中立公正に、司法修習生の給費制問題(法科大学院は司法修習生の給費制に反対しています。その論調は司法修習生に回す金があれば法科大学院に金を回せといわんばかりの論調だったように記憶しています。)や、法科大学院の機能不全の問題(各所から指摘を受けているのに法科大学院協会理事長はつい最近まで法科大学院に問題はないと断言していたように記憶しています。)をきちんと議論できるのかは、誰が見ても疑問でしょう。
しかも、議論を公開しない方針であるとは、よく分かりません。責任ある発言ならば公開されてもなんの問題もないでしょう。それを嫌がるとは、どういうことなのでしょうか。
この有識者のリストを見ただけでも、ある結論を導くために人選がなされた可能性すらありそうです。
フォーラムでの議論が、法科大学院保護の為になされないか、十分注意してみていく必要があるように思われます。