前のエントリーで、修習生の方に朗報をお伝えしておきながら矛盾したようなことを言うようだが、昨日の常議員会で頂いた資料に、年々厳しくなる就職状況のアンケート結果が入っていた。
大阪弁護士会執行部に対し、その資料の公表を可否を尋ねたが、会員限りとのお返事だったので、以下の記述は、「私が仄聞するところによると、どうも、こういう状況らしい」というものに過ぎないことをお断りしておく。
紛れもなく、司法修習生の法律事務所への就職難は厳しさを増している。
昨年11月実施のアンケート(毎年この時期に法律事務所に対して実施。回答率は29~20%程度。)に回答した事務所のうち、司法修習生の採用を希望する事務所の割合がここ3年次のように低下している。
2008年11月 30.41% (小数点3桁以下四捨五入、以下同じ)
2009年11月 21.52%
2010年11月 16.67%
このアンケートには、どんな条件なら採用可能かという項目もあげられている。2010年のアンケートには、その問いに関して、はじめて、「条件に関わらず採用予定なし」という選択肢が組み込まれたようだが、アンケート結果(複数回答あり)の上位3項目は、概ね次のような内容になっている(らしい)。
条件に関わらず採用予定なし 65.6%
スペースがあれば 17.3%
低年俸なら 9.8%
また、「条件にかかわらず採用予定なし」と回答した方で、記載された理由の上位5つは次の通り(らしい)。
1位 事件・収入が減少した又は、ないため。あるいは増加する見通しが立たないため。
2位 高齢のため・健康上の理由のため・廃業予定のため
3位 現状で業務には十分足りている。これ以上雇用する余裕がないため。
4位 自分が独立して間がないため。
5位 採用の必要性を感じない。あるいは採用の意思がないため。
これでは、修習生としては、早く釧路・長崎へ就職活動に行くか、「弁護士のさらなる増員は必要、潜在的弁護士ニーズがまだまだある」と仰る方々(江田法相含む)に雇用してもらうしかないではないか。
日弁連は、早急に、まだまだ潜在的ニーズはあると言い張る弁護士、または、司法試験合格者減員に積極的に賛成しない弁護士(現状の激増路線を是とする弁護士)が所属する法律事務所のリストを作成して、司法修習生に教示するべきだ。
責任ある発言をしているのなら、きっと雇用してくれるはずだ。無責任かつ根拠なしに潜在的ニーズの存在や弁護士激増の必要性を論じているわけではないだろう。
本来なら、司法修習生の窮状を分かっているはずだから、ご自分から名乗り出るべきだと思うが、どうも潜在的ニーズ論者や弁護士激増論者の方は、シャイな方が多いらしいので、日弁連が後押ししてやるしかないではないか。
誰が潜在的ニーズ論者か、弁護士激増論者か、分からないって?
そんなのアンケートとればすぐわかる。アンケート未回答の人を含めて、法律事務所の連絡先を公開すればいいのだから、やり方も簡単だ。そもそも弁護士名簿には、事務所名も名前もみんな掲載されている。
司法修習生としても、それくらい日弁連に求めても、おかしくないだろう。就活で、公に募集をしていない会社に対して、採用予定があるかどうか問い合わせるのとおんなじことだ。
※記載内容については、全て執筆者の個人的な見解に基づくものであって、当事務所の統一した見解・意見ではありません。