先だって、ご報告してきた、総務省の「法科大学院(法曹養成制度)の評価に関する研究会報告書」に対して、日弁連が、1月25日付けで意見書を出した。
読んでいて恥ずかしくなるが、力いっぱい、言語明瞭、意味不明瞭という代物である。
私の読解力不足のせいかもしれないが、日弁連意見書の内容は、読んでも結局何を言いたいのかよく分からない。長々と書いてはいるが、読み取れる内容としては、要するに「法科大学院制度に手を出すな、口を挟むな」、というだけに読める。
総務省研究会委員の意見には、日弁連意見書が指摘するように、確かに、一部に間違っている部分もあるとは思うが、法務省・文科省・法科大学院・日弁連が目をつぶっている部分を明確に指摘した面も多分にある。
ちなみに総務省委員の方は、
ジャーナリストの江川紹子氏、
名城大学教授・コンプライアンス研究センター長・弁護士の郷原信郎氏、
同志社大学法科大学院教授のコリンP.A.ジョーンズ氏、
学習院大学法学部教授の櫻井敬子氏、
早稲田大学政治経済学術員副学術院長・早稲田大学現代政治経済研究所所長・教授の谷藤悦史氏、
株式会社三井住友銀行法務部長の三上徹氏、
中央大学文学部教授の山田昌弘氏
の合計7名だ。
日弁連が市民の意見を、聞くために市民会議を開催しているが、そのメンバーに選ばれてもおかしくない有識者の方々だと思われる。
日弁連が、市民の目線で司法改革を行うのであれば、むしろ総務省委員の意見を尊重しておかしくないはずだが、日弁連は、上から目線で、「お前らのやれることには限界があるし、法科大学院の調査は法科大学院にも負担をかけるので控えよ」と、この意見書で宣った(のたまった)のだ。
本当なら逆じゃないのだろうか。法科大学院が本当に素晴らしい制度であって、それが社会に理解してもらえていないだけなのであれば、むしろどんどん調査してもらって、その素晴らしさを天下に示せばいいじゃないか。当事者が本当は素晴らしいんだ、と言いはるだけより、遥かに信頼してもらえるはずだ。
なぜそれが出来ないんだ。
詳しく調査されるとボロが出るから、法科大学院に関しては口を挟むな、手を出すな、と狡い逃げをうっているだけなのではないのか。素直に考えれば、そうとしか思えないだろう。
少なくとも私は、このように恥ずかしい意見を、日弁連全体を勝手に代表して「当連合会の意見」などと言われたくはない。
誰がなんの権限でどういう経緯でこういうへんてこりんな意見書を出したのだろう?少なくともこのような意見を出されて恥ずかしい思いをさせられている弁護士は相当な数いるはずだ。
なお、この件に関して「こんな日弁連に誰がした」の著者で、弁護士の小林正啓先生がブログで分析されている。非常に面白いので是非ご参照されたい。
http://hanamizukilaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/post-6f61.html
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