弁護士就職状況

 これまで弁護士は、2回試験に合格し司法修習を終了すると、事前に申請していた日弁連と各弁護士会へ一括登録され、弁護士となるのが普通だった。

 逆に、一括登録時点で登録していないと、ひょっとして2回試験に合格しなかったのかなどと邪推される可能性があったりしたものだ。つまり、これまでは、弁護士になるには一括登録するのが常識的な扱いだったと考えても良いと思う。

 ところが、今年新63期司法修習生の一括登録時点において、弁護士登録した人数は1,571名のようだ。ちなみに2回試験受験者数2,039名、合格者数1,949名となっている。

 もちろん、2回試験合格者から裁判官・検察官になる人もいるが、新62期の実績では、裁判官99名、検察官67名の採用に止まっているから、昨年並みに裁判官・検察官が任命されると仮定して、1949-99(裁判官)-67(検察官)-1571(弁護士)=212名が、一括登録時点で弁護士にも裁判官にも検察官にもなれていない可能性がある。

 ただ、12月の中旬以降に登録してもすぐに年末年始になるから、事務所の方針で1月登録をするよう指示されている人も相当数いるかもしれない。そうであったとしても、この数は異常だと私には思える。

 なお、共同通信が報道したところによれば、次の通りである。

(記事引用開始)

企業内弁護士に9割が消極的 日弁連調査
 会社の中で弁護士としての専門知識や経験を生かす「企業内弁護士」の採用について、企業の9割以上が消極的なことが17日までに、日弁連の調査で分かった。

 企業コンプライアンス(法令順守)を支えるなどとして採用拡大をもくろむ日弁連に対し、企業側が高額な報酬や使い勝手の悪さを理由に背中を向けた形。

 調査は昨年11月、上場企業を中心に5215社に実施。1196社から回答があり、このほど発行した弁護士白書で紹介している。

 うち、企業内弁護士を採用しているのは47社で、「募集中か採用予定」の25社を合わせても1割以下にとどまった。

(引用ここまで)

 弁護士過剰の現状では、雇用しようと思えば雇用できる状況が整いつつあるはずだ。確か、司法制度改革の頃、弁護士の数を増やせと言っていたマスコミ・経済界の一部の方は、経済界でも弁護士が不足しており欲しくてたまらないと仰っていたように思うのだが、 その方々は、一体どこへお隠れになられたのであろうか??

 隠れてばかりいないで、お言葉通り、弁護士を山ほど雇用してあげて欲しいものだ。もちろん、マスコミに対しても同意見だ。報道関係者が言行不一致だと信頼なくしちゃいますよ。

※記載内容については、全て執筆者の個人的な見解に基づくものであって、当事務所の統一した見解・意見ではありません。

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