法科大学院志願者減

 法科大学院志願者の減少が止まらない。

 法科大学院志願者は、大学入試センターが行っていた「法科大学院適性試験」か、日弁連法務研究財団が行っていた「法科大学院統一適性試験」を受験しなければならないから、その志願者数を見ればおおよその見当は付く。

 大学入試センターが行ってきた適性試験の志願者は、平成15年から平成22年までの8年間に次のように推移した。

 39,350→24,036→19,859→18,450→15,937→13,138→10,282→8,650

 なんと、8年間で、ほぼ5分の1、冗談のような減少ぶりである。

 日弁連法務研究財団の適性試験の方は、大学入試センターほどの落ち込みはないにしても、平成15年に20,043名いた志願者が、平成22年には7,819名に減少している。こちらは6割減で、当初志願者数の4割程度になっている。

 明らかに異常な減少だろうと思われる。志願者数が少なければ優秀な人材を確保することが困難になることは、誰の目にも明らかだろう。少なくとも、この8年間のデータを見る限り、優秀な人材を継続的に確保するという意味において、法科大学院は失敗したと言っても良いのではないだろうか。

 法科大学院には、当初、多様な人材を法曹界へと導く意義があると強調されたこともあるが、学部別の統計がある大学入試センター主宰の適性試験で見てみると、平成15年には42.57%あった、法学部以外の出身の志願者が、年々減少を続け平成22年度では、ついに26.36%にまで落ち込んだ。

 もはや、法科大学院制度には、多用な人材を法曹界に導く意義すら失われつつある。先日引用した、第151回国会の法務委員会での質疑で、この惨状を暗示するかのような、次のような委員の発言があった。

○中村(哲)委員 

 先生(坂野注・ここでの「先生」は佐藤幸治教授を指す。ちなみに中村委員は京大法学部出身で、佐藤教授の講義も受講していたそうだ。)、だからこそ、枝野さんが申しましたように、教育のあり方、鍛え方というのが予備校が今すぐれているということは認識しないといけないと思うのです。
 私は、先生の講義を聞いて大学の講義を中心に勉強しましたけれども、結局司法試験に受かりませんでした。そうじゃなくて、大学の授業に一年生から出なくて、予備校に行った人が受かっていっています。そういうふうなことを真摯に考えていただかないと、若者は本当に、大学の先生の言葉を信じて勉強した人はばかを見ます。
 その点だけ確認させていただきまして、時間がなくなりましたので、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

(引用終わり)

 果たして、大学の先生の言葉(もちろん当時の日弁連執行部の責任もある)を信じて作られた法科大学院制度が本当に正しかったのだろうか?

 大学の先生の言葉を信じて勉強した法科大学院生たちは、馬鹿を見ることはなかったのだろうか?

 そして、誰がその責任を取るのでしょうか?

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