新62期修習生は、全国各地での分野別修習を7月29日に終了して、集合修習のため埼玉県和光市の司法研修所に戻ることになっているようです。
私達が司法修習生の頃は、各地での修習を終了し、和光の司法研修所に戻る際には、すでに就職が決定している方がほとんどでした。
最新の、情報によると、大阪で司法修習中の260名中、アンケートに回答してくれた方が約160~170名、そのうち約45%の方が、まだ就職先が見つかっていないようです。全国平均でも、アンケート回答者の約30%が就職未定のようです。
しかもこれはアンケート調査ですから、就職が決まった修習生は回答しやすいけれども、就職が決まっていない修習生としては、自分は決まっていませんと回答しにくい 調査です。したがって、本当に就職先が見つかっていない方は、おそらく全国的に見ても40%以上いてもおかしくありません。
そういえば、前日弁連会長の平山正剛氏は、司法修習生の就職は2010年まで大丈夫とおっしゃっていたはずですが(2007年11月9日の当職のブログをご覧下さい)、この状況でも大丈夫とおっしゃるおつもりなのでしょうか。
仮に2010年まで大丈夫であっても、大丈夫なのが2010年までということは裏を返せば、その後は大丈夫じゃないということです。平山氏の見解が日弁連執行部の見解だったとすれば、まず現状をどうするのか、次に2010年の後はどうするのか、日弁連執行部に明確に説明して頂きたいところです。
また、昨今、法科大学院への志願者が減少の一途であることが、報道されていますが、無理もありません。時間もお金もかけて法科大学院へ進学し、新司法試験・2回試験に合格して、ようやく資格を得ても、就職すら困難なのですから。
そして、就職困難な状況は、需要がないのに供給が増え続けるのですから、更に悪化することはあっても改善する兆しは今のところありません。
法科大学院の関係者の方には、新司法試験の合格率が低いから志願者が減少しているのだ、と主張されることがあるようですが、世の中の人々は、そんな馬鹿ではありません。
法科大学院卒業というだけでは、なんら就職に有利でもない現状を十分知っているのです。そのうえで、新司法試験が、法科大学院に対してたくさんのお金と貴重な時間を費やしたうえで、なお、挑戦するに値する試験なのか否かを冷静に判断しているはずです。
その冷静な判断の結果、挑戦するに値しない制度であり、資格であると判断するからこそ、志願者が激減しているのではないでしょうか。
おそらく法科大学院としては、「法曹はいつの時代でも食いっぱぐれないし、法曹の魅力はいつの時代でも変わらない」と思っていたのかも知れません。しかし、いくら社会的に有意義であっても、仕事がなく食えない職業であれば、多くの人はその職業を目指しません。職業は、自分を実現していく手段ですが、同時に生活の糧を得る手段でもあり、いずれかを欠く職業は魅力がないからです。しかも、その職業に就くために、たくさんのお金と時間がかかるならなおさらでしょう。
ちょっと脱線してしまいましたが、法科大学院も、いつまでも新司法試験のせいにせず、自らへの志願者の減少の本当の原因を、冷静に探る必要がある時期に来ていると思います。
※ このブログの記事掲載の日時が誤って7月17日と表示されていました。正しくは7月21日ですので、訂正いたします。