今日の弁護士会の法律相談で、ネットで見たという行政書士に半年前に借金の整理を依頼したのだが、結局なんにもしてくれず放り出された、という方が来られていました。どこの行政書士か聞こうとしたのですが、契約書も作らず領収書も出していないようで、どこの行政書士か全く不明でした。極めて悪質と言わざるを得ず、本当に腹が立ちます。
行政書士には、債務整理に関しての代理権はありません。つまり、借金に困った方の代わりに行政書士がサラ金と交渉することは法律違反であって出来ません。もし本当にやっていたとしたら、その行政書士は弁護士法違反で懲役刑もある刑罰が科される危険があります。
また、行政書士が間に入って仮に話がまとまったとしても弁護士法違反の行為は公序良俗違反で無効ですから、サラ金からこの前の話し合いは無効であると主張される危険がつきまといます。
原則として借金で困った方の代わりに(代理人として)、サラ金と交渉できるのは弁護士と一部の認定司法書士だけです。そして弁護士は全ての借金の範囲について代理人として交渉できますが、認定司法書士が借金で困った方の代わりに交渉できるのは140万円までの範囲に限定されます。140万円を超える事件について司法書士が代理した場合、先ほど行政書士で述べたような弁護士法違反となります。
最近債務整理の広告を沢山の司法書士が出していますが、交渉が比較的楽な過払金のあるサラ金とだけ交渉して多額の報酬を取り、それ以外の解決に時間がかかり報酬があまり見込めないサラ金の案件は、「これ以上はウチでは出来ない、弁護士にやってもらえ。」と言って突き放す例が知り合いの弁護士からいくつか報告されています。
しかも司法書士・行政書士の殺し文句は、「弁護士に頼んだら幾らかかるか分からない」だそうで、そうやって自分のところは安いと説明しながら、実際は弁護士会よりも高額の報酬を取る場合もあるようです。
私の知り合いである司法書士の方は当然キチンとされていますが、最近何度もそのような、借金に困った方を食い物にする一部のとんでもない司法書士の存在を耳にします。更に今日の法律相談に来られた方のお話のように、本当は全く債務整理の代理権がないはずの行政書士までが借金に困った方を食い物にしようとしてネット広告を行っているのでしょうから、問題は大きいでしょう。
弁護士会では弁護士会で定められた基準でしか弁護士費用(着手金・報酬)を取ってはいけないことになっており、弁護士会を通じて弁護士に依頼したときは、契約書も3枚綴りで、一枚は依頼者の控え、一枚は弁護士の控え、最後の一枚は弁護士会法律相談センターに提出して審査を受けることになっています。
つまり大阪では、弁護士会法律相談センターの報酬基準より高すぎたり不当に安すぎたり出来ないようになっているのです。
弁護士会の法律相談を通じてご依頼されるのが最も安心できるものだと思います。サラ金関係の借金に関する法律相談は原則無料で行っているはずですので、出来るだけ早くご相談されることをお薦めします。