日弁連は暴走しないでもらいたい。

 日弁連が、3月17・18日の理事会で、当面の法曹人口の在り方に関する提言を決定し、対外的に提言を行う予定だそうです。

 その内容は、かいつまんで言えば、

 ① 法曹人口5万人を目指して最大限努力する。

 ② 司法制度改革は弁護士人口増大以外の、改革が進展していないし、新規法曹の質の懸念が各方面から指摘されている。

 ③ ここ数年は、現状の合格者(2200人)を目安とし、その後改めて検討すべきである。

 といったものです。

 ②はともかく、今でも新人弁護士の就職困難者が溢れている現状を日弁連執行部はどう思っているのでしょうか?弁護士を含め法曹の人口は、日弁連が勝手に決めて良いものではなく、社会のニーズに合わせて国民が決めるものでしょう。国民の方はアメリカのような訴訟社会になっても良いから弁護士数を激増して欲しいと本当に言っているのでしょうか?その証拠はどこにあるのでしょうか?

 国民が弁護士に頼みたくてたまらない、弁護士の順番待ちをしているという状態であれば、どの事務所にも仕事が殺到して大変になり、あらゆる事務所が新人弁護士採用したくてたまらないはずです。新人弁護士の就職難などあり得ません。新人弁護士の就職難は、国民がそこまで弁護士を利用しなくても良いと思っている、すなわち弁護士過剰の最大の証拠なのです。

 実際に訴訟件数は微増に過ぎず、しかもその内訳は過払い金請求が多くを占め、過払金請求以外の通常訴訟事件は大きく減少していると言われています。

 既に弁護士は、大幅増員されてきています。1950年頃には6000人にも満たなかった弁護士数は、次第に増加し、40年かけて1990年頃には13800人ほどになりました。その頃弁護士不足がさかんにいわれ、増員が次第に行われたこともあり、2009年3月1日時点では、約27000人となりました。

 弁護士不足が言われていた1990年頃と比べれば、現在の弁護士数は倍増しているのです。 

 それにも関わらず、更に倍増するほど弁護士数を増やす必要がどこにあるのでしょうか。国民の方々が、1990年頃に比べて、弁護士を活用される頻度が2倍になっているでしょうか?

 弁護士過疎地と目されていた各地の弁護士会からも、弁護士数激増に反対する決議が上がりつつあります。

 日弁連は、自分のメンツだけを考えて暴走しないでもらいたいと思います。

 登山に関する小説で、「本当のリーダーは、天候の悪化が予想される場合には、きちんと状況を見つめ、例え現時点で快晴で山頂が目の前にあったとしても、隊員の安全を考えて撤退を決めることが出来る決断力を持った人である」というような内容読んだことがあります。

 それを、一応みんなのために働きたいと言って選挙で選ばれ、リーダーを自認する方が、

「天気予報も聞かず、きちんと状況を見つめることもなく、天候が悪化しつつあることを分かっていながら(但しどれくらい悪化するかは想像できていない)、自分は重装備でベースキャンプという安全な場所に構えつつ、『ルートは俺が決めてやった。退路はないかもしれないが気にするな。後は頑張れ。』と、装備もない隊員達に山頂へのアタックを強行させる」

そんなことがあって良いのでしょうか。

 少なくとも提言の①はおかしいでしょう。③も現状維持ということは現状の悪化具合を容認することですから、問題が大きいはずです。

 この点について、弁護士武本夕香子先生が、日弁連会長宛に再考を促す意見書を作成して下さいました。読んで頂ければ、以下に日弁連執行部がやろうとしている提言が危険であるかがよく分かると思います(下記のURLよりダウンロードして下さい)。

ファイルをダウンロード

 わたしは、武本先生の意見書に賛同します。賛同者として名前を挙げても良いと仰る弁護士の方は、当職宛にEメール又はファクシミリでご連絡下さい。賛同者として載せて頂けるよう、私の方から武本先生にお伝えさせて頂きます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です