ぼくに家族ができたよ  きのみゆかり 作・絵

 ペットショップで大きくなってしまったテリア犬がいた。ある日、ついに主人となってくれる家族があらわれる。ご主人の家で、ジャム(テリア犬の名前)が見たものは・・・・?

 皆さんご存じかもしれませんが、ペットショップで売られている犬たちの値段は、子犬の方が高いのです。つまり可愛い子犬の時期が、ペットが最も売れやすい時期とも言えます。残念ながら大きく育ってしまった犬は高値では売れず、世話にも手間がかかる、というペットショップではあまり歓迎されない存在のようです。

 しかも、子犬の頃に買い手がつかなかった犬は、仲間達がどんどんご主人が決まってもらわれていくのを眺め続けていなくてはなりません。犬だって心くらい持っています。そんな状況下で育たなければならなかった犬の心が、傷つかないはずがないと私には思えます。

 作者の、きのみゆかりさんは、家族総出でジャムの心をゆっくりと温めて傷を治していかれたはずです。そんなジャムとの日々を、暖かい絵と文章で描いたのが、この絵本です。

 今年の11月末頃、ひょんなきっかけで、阿蘇にある、きのみゆかりさんの小さなお店に訪れる機会を得た私は、美味しいお菓子と珈琲をご馳走になり、ジャム君と遊ばせてもらいました。ジャム君は本当にご主人が大好きなようで、少しでもご主人がそばを離れようとすると、大騒ぎしていました。

 作者の、きのみゆかりさんは、絵本の原画展を開催されたり、募金活動をされたりしながら動物愛護のために活動されています。私は、もちろん帰りがけに、この絵本を買い、きのみさんは快くサインもしてくださいました。

 機会があればまた美味しい珈琲とお菓子を頂いて、そしてやんちゃなジャム君と遊ばせて頂こうと思っています。

文芸社 1050円(税込)

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