報道によると、今日、ホンダがF1からの撤退を表明した。
一つの時代が終わった。
思えば、私が最初に鈴鹿サーキットでF1を観戦した1987年、音速の貴公子と呼ばれたアイルトン・セナと日本人初のF1レギュラードライバーとなった中島悟は、鮮やかなキャメルイエローのロータスホンダで鈴鹿を駆け抜けた。セナが2位、中島が6位という好成績を挙げた。私は自由席で、座って観戦することもままならず、レース中ずっと立ちっぱなしで応援を続けた。その対象は、F1という自動車レースの最高峰で戦い続けるホンダでもあった。
その翌年、ホンダはマクラーレンと組んで、16戦中15戦で優勝を飾った。
ホンダという会社が日本に存在することが嬉しかった。
確かに2000年から始まった、第3期のホンダのF1活動は苦戦続きだった。マシンの改良によっても思うような効果が得られず、ドライバーの奮闘だけでは勝利を得られない状況が続いてしまった。そのような状況に加えて、このサブプライム問題である。いくらホンダがチャレンジング・スピリットに溢れていたとしても、営利社団法人としての会社としては、撤退は、やむを得ない選択かもしれない。
しかし、どうしても寂しい思いが残ってしまう。
世界の多くが明らかになってきた現代。自らの力で新たな天地をめざそうとする冒険家の時代は終わり、何らかのスポンサーを背負ってでなければ冒険すら不可能になりつつある、そのような時代の流れが、ホンダを呑み込んでしまったような、そんな気がしてしょうがない。
夢を追うことすら困難な時代が来ようとしているのかもしれない。