証拠調査士?

 先日、遅くに夕食をとりながらTVを見ていたら、お名前は忘れたが証拠調査士(?)という人が、様々なトラブルを解決しているという特集をやっていた。

 再現ドラマ風に、いくつかの事例が紹介されるのだが、その中で、身に覚えのない借金を負わされた人の話が出ていた。被害者はまず弁護士に相談に行くのだが、弁護士から「借りていない証拠はあるか」といわれ、途方に暮れるという設定だった。その時点で、「どうして債務不存在確認訴訟を考えないのかなぁ」と不思議に思っていたら、 証拠調査士の人が知り合いの複数の弁護士さんと延々と協議しても妙案が浮かばず、そのなかで、証拠調査士の人が債務不存在確認訴訟を提案し、弁護士がそれは妙案だと感心する、というストーリーのようだった。

 確かに、借りていない証拠(例えば借入開始日に服役中・海外出張中など)があれば、それに越したことはないが、いくらテレビとはいえ、弁護士が何人も雁首そろえて債務不存在確認訴訟に気付かないという設定はあまりにも弁護士を馬鹿にしている、現実離れしたものであった。

 少なくとも、私のまわりにいる弁護士なら、誰だって債務不存在確認訴訟くらいは、すぐ気付く。ただ、弁護士にお願いしてその裁判をやる経済的メリットが、依頼者側にあるかどうかの問題である(例えば、5万円の借金を逃れるために10万円の弁護士費用を支払うのでは意味がないであろう) 。

 いくら再現「ドラマ」でも、債務不存在確認訴訟に気付かないという、弁護士が何人もいたとは思えない。もう少し、真実に近い弁護士の姿で、描いて頂かないとテレビをご覧になった方も誤解してしまうだろう。

 ちなみに、証拠調査士という国家資格は、少なくとも私の知る限り、日本にはない。

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