日経新聞の「窓」の欄に、小さな写真入りの記事が載っていました。
ホッキョクグマ(シロクマ)が、アイスランド北部の町で確認されたという記事でした。
もともとアイスランドには、シロクマはいませんから、北極から泳いでやって来たのだろうということでした。
シロクマは北極海が氷に閉ざされると、主に氷の穴で呼吸をするアザラシを待ち伏せして捕らえ、食べて生活するといわれています。ところが、地球温暖化により北極海の氷が完全に凍らずに、アザラシを捕らえることが次第に難しくなってきているそうなのです。
北極からアイスランドまでは数百キロはあるはずです。食べ物を求めて気の遠くなる距離を泳いで、ようやくアイスランドまでたどり着いたのでしょう。アイスランド警察はシロクマを保護しようとしたのですが、失敗し、クマが走り始め市街地に接近する危険が出たため、やむなく射殺したと記事には書かれていました。
シロクマにとって見れば、孤独と疲労に耐えながら、何日もかけて数百キロを泳ぎ、やっと見つけたアイスランドの大地だったはずです。そのときのシロクマの気持ちを考えると、やるせないような、切ないような気持ちになってしまいます。