2006年の年末から2007年の正月にかけて、アイスランドを旅行する機会がありました。
アイスランドには、グトルフォスの滝、ゲイシール(間欠泉)、シングベトリル国立公園を巡るゴールデンサークルツアーがありました。まあ、3大観光名所ツアーのようなものですね。
その中で、シングベトリル国立公園は、マントル対流が地上にわき出し、左右に水平に分かれていく部分が地上で見られる非常に珍しい場所です。凹の形をした、地溝帯があり、片側はユーラシアプレート、もう一方は北アメリカプレートになっています。アイスランドはこのプレートの動きで、年間数㎝くらいずつ大きくなっているそうです。
地殻の生まれる場所に近いとも言えるこの国立公園は、地球の歴史を形作ってきたようにも思えます。単に景色だけ見れば、地溝帯に過ぎないのですが、地球が生まれだしてくるような場所と考えれば、とても感慨深いものがありました。
アイスランドは、海沿いこそ、メキシコ湾流の影響で暖かですが、内陸にはいるとグンと気温が下がります。真冬の寒さに凍えながらも、地球の歴史に思いを馳せ、その地球の歴史の、ほんのごくわずかな時間、地上に存在できた私達のことを考えることができたのは、貴重な体験でした。
人類が生まれる前からこの場所は存在し、おそらく人類が滅びた後も、この場所から地球の表面を覆っているプレートは生まれ続けるのでしょう。
壁のようにそそり立っている地溝帯の壁(岩の壁)に、そっと触れてみました。ひんやりとした冷たい岩の感触だけが感じられました。しかし、単に冷たい岩の感触だけではなく、地球という星が生きていて、動いているということを感じさせる何かが潜んでいるような気がしたのは、ちょっと感傷的になりすぎていたからかもしれませんね。