不公平な国民健康保険

 弁護士の場合、弁護士国保のある弁護士会の所属弁護士をのぞいて、通常は、国民健康保険に加入する必要があります。
 しかし、この国民健康保険料が、非常に高いので、結構驚かされます。
 私の場合、介護保険料を含めて、年間62万円を支払う必要があります。私は独身ですので、たった一人でこの金額を負担させられるわけです。
 家族が何人いても最高限度額までの負担ですので、家族10名の場合でも、私のように一人であっても同じ62万円(介護保険を含む)を1年間で負担させられます。

 私は制度についてあまり深くは知りませんが、次の理由で、国民健康保険には非常に強い不公平感を感じています。

① まず地域によって、保険料が違うこと。通院する病院が一緒でも、たまたま住む地域が違うだけで、保険料が異なるのはやはりおかしいでしょう(地域差)。

② 私のように家族なしでも、家族10名でも全く最高額の保険料が変わらないこと。つまり、家族が10名いれば、私よりも10倍医療保険を使う可能性が高いはずです。10倍危険が高いのであれば、保険料もそれに応じて定めるのが通常のはずです。それが損害の公平な分担を考える保険の基礎的な考えではないでしょうか。それにも関わらず、国民健康保険では、家族の人数は全くと言っていいほど考慮されていないため、独身の人は、他人の保険料まで負担させられている可能性が高いと思われます(人数の問題)。

③ 政府管掌健康保険や、公務員共済などでは、事業主が保険料の最低半額を負担しなければなりません。したがって、うちの事務所でも事務員を政府管掌健康保険に加入させていますので、事務員の健康保険料の半額を負担しなければなりません。他人の保険料の半額を負担しなければならないのに、どうして自分の分は誰も負担してくれないのか、そのような気になってしまいます(事業主負担の有無の問題)。

④ 最大の問題点として、国民健康保険に加入する人の問題もあります。例えば会社員の場合は政府管掌健康保険、公務員の場合は共済組合があり、現役世代のうちは、国民健康保険に加入しません。現役世代=収入もあり、病気の危険も比較的少ない年代です。その年代の人たちだけで健康保険を組織するわけですから、当然医療費も少なくなり、保険料も安くできます。しかも、半額は事業主負担です。ところが、その人達が現役を退いた後に加入するのが国民健康保険です。失業した人も原則は国民健康保険です。現役を退いているため収入は現役時代より少なく健康保険料負担能力は高くありません。また、定年後ですから、高齢化により高額の医療費がかかる危険性は現役時代の比ではありません。このような人たちを、所得が少しでもある現役世代の個人事業主が支える形になっているのが国民健康保険です(健康保険を構成する人たちの問題)。

 簡単に言えば、政府管掌健康保険や公務員共済は、新車(保険料負担能力が高く、病気になりにくい年代)ばかりを集めて経営している運送会社のようなものです。しかも、経費については半額を負担してもらえる優遇措置付きです。
 ところが、国民健康保険はどうでしょうか。新車もありますが、中古車や動かなくなった自動車をたくさん集めて、その中で(国庫の負担はありますが)何とか運送事業をやっていかなければならない運送会社のようなものです。

この場合、新車だけに大きな負担がかかることは目に見えています。これはあまりにも不公平でしょう。

 早めに健康保険制度を改革しないと、このままでは国民健康保険を支える人間が耐えられなくなります。

 国民健康保険制度がおかしな制度でないのであれば、国民全体の奉仕者である公務員(国会議員も含む)の共済制度は直ちに廃止して、国民健康保険に移すべきです。そうすれば、保険料を負担できる現役世代が増加するため、国民健康保険の財政も間違いなく好転するでしょう。事業主である国や地方公共団体も半額負担をしなくて済む(と思われる)ので、税金の節約にもなります。それが国民全体への奉仕というものではないでしょうか。

 それをしないのは、国民健康保険制度があまりにも不公平であり、負担が大きいことを公務員が知っているからとしか考えられません。

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