大阪弁護士会臨時総会の感想~

 先だって行われた、8月6日の大阪弁護士会臨時総会では、執行部議案が採択されました。

 つまり、提案者である私達の負けということになったのですが、敗因は、ざっと思いつくだけでもいろいろ考えられます。

 ① 執行部には組織があり、会派の力を用いた強力な票の動員が行われたこと、~弁護士奥村徹先生のブログには、会長選挙よりも力の入った電話でのお願いが会派からなされていたことが記載されています。また、臨時総会前に宮崎日弁連会長が大阪に戻り、会派の会合で、執行部案支援を呼びかけたそうです。

 ② 執行部案、会員提案議案とも否決しようとする動きがあるとのデマが流され、双方否決よりは、執行部案だけでも可決すべきと考えた人が相当数いたと思われること、~現に私のところにも複数の方からそのような問い合わせが来ていました。

 ③ 執行部のメンツ(日弁連への政治的影響力)を守るという名目で、会派上層部が一致団結したと思われること、~会派上層部の談合で決まったと思われる8号議案は、日本語としても明確でないにもかかわらず、その内容を執行部がわずかでも変更・修正することはできませんでした。

 ④ 秘密投票制度を利用できなかったため、事実上、誰が執行部案に反対しているのか分かってしまう状態であり、執行部に対する遠慮から真意に従った投票ができなかったと考えられること、~複数の年輩の先生から、秘密投票にしないと若手には本音の投票は無理だとのご指摘がありました。

 ⑤ 若手の多くは未だイソ弁であり、大変な就職活動の末ようやく雇ってもらったボス弁から給与をもらっている関係上、ボス弁の意向に逆らいにくい状況にあったこと、~そのような情報も届いていました。

 ⑥ 会内民主制が歪められている事実を、多くの会員が未だ知らないこと、~常議員会の、討論内容とかみ合わない極めておかしな決議結果について、多くの会員は知らされていません。

 ⑦ 委任状が大阪弁護士会に提出される関係上、執行部は事前に十分な票読みが可能であり、それにより戦い方を変更することができる状況にあったこと、~某会派の会合では委任状の数の現状が報告されていたようです。

 ⑧ 会員側には組織が何もなく、ごく少数の会員が自分の仕事を犠牲にして本件決議のために活動するしか方法がなかったこと、~実際には本当に大変でした。

 確かに、負けはしましたが、それでも意義はあったのではないか、と私は個人的に考えています。
 通常の臨時総会では、200名の席を用意しても十分余るくらいだそうですが、今回の臨時総会では450名以上の方の参加があり、この問題に関する関心の高さが明確になりました。少なくともこの問題の扱いに関して慎重に行わなければ、今回のように大慌てで会派を使って締め付けを行っても、会員の相当数の反撃を受ける危険があることは執行部、会派上層部も理解したことでしょう。それと同時に、これまで、会派上層部と執行部で談合して政策を決めてきたかもしれませんが、若手の意見を押さえつけて自分勝手に今までのやり方で問題を先送りにしても、いずれツケを払わなければならないときが来ることも少しは理解してもらえたかもしれません。

 私個人としては、過ちは素直に過ちと認め、直ちに軌道修正を行うべきで、それは大阪弁護士会のメンツや日弁連に対する政治的影響力よりも重要だと思っています。

 結果だけを見て批判・論評することは簡単です。しかし、今回執行部案に賛成された方は、少なくとも「昨年度と同程度の2100名程度の合格者でもやむを得ない、弊害があってもそれよりも大事なものがあるから弊害を甘受すべきだ」とのご意見なのでしょうから、直ちに就職難の修習生を雇ってあげるべきだし、来年からも就職難の修習生をどんどん雇ってあげるべきです。

 それが言行一致というものです。

 執行部案に賛成してやったから、執行部だけが弊害を甘受しろというのでは、身勝手といわれてもしょうがないでしょう。

PS 前回は冷静(冷徹?)な分析をされている小林先生のブログをご紹介しましたが、今回の臨時総会の意義を評価して下さる方として、弁護士寺本ますみ先生のブログをご紹介させていただきます。

 http://t-m-lawyer.cocolog-nifty.com/

映画 スカイ・クロラ~

 完全な平和が実現した世界で、大人達が作った、「ショーとしての戦争」。

 そこで戦い、生きることを決められた子ども達がいる。

 思春期の姿のまま、永遠に生き続ける彼らを人々は<キルドレ>と呼んだ。

 空と地表の境で繰り返される、終わらない愛と生と死の物語。

 宮崎駿監督の「崖の上のポニョ」が話題になっている、この夏のアニメ映画ですが、私のお薦めはこの「スカイ・クロラ」です。ご覧になっていない方のために、詳しい内容を紹介することは避けますが、できれば事前の情報を入れずにご覧頂き、なんだかよく分からないけれど何かが心のどこかに引っかかると思いつつ、公式HPを見ると、もう一度映画館で見たくなる映画かもしれません。

 発進前に、ラダー・エルロン・エレベーターなどの動作をきちんとチェックするところ、計器板の表示、キャノピー越しの太陽、空の美しさ、リアルすぎる雲、飛び交う曳光弾など空戦シーンは圧倒的なリアリティに溢れています。人(キルドレ)の命がかかっている戦場なのですから、本来極めて残酷なシーンのはずなのですが、ここまでリアルに表現されると、空の描写と相俟って、却って非日常的な美しさすら感じてしまいます。

 一転して、地上世界の人間描写は、リアリティの感じられない、アニメ的な描写になります。

 キルドレではない大多数の人間にとっては、空戦シーンがショーであり、地上世界が現実であるはずなのに、映像表現は完全に逆です。

 原作は森博嗣の「スカイ・クロラ」ですが、映画では原作のラストが変更されています。私としては、映画のラストの方が好きです。

 上映している映画館は、ポニョほど多くはありませんが、空戦シーンだけでも、映画館の大画面で見る価値は十二分にあると思います。

大阪弁護士会臨時総会の結果~

 本日大阪弁護士会臨時総会が開催されました。

 結果は添付の写真の通りです。力及ばず、執行部案(8号議案)が可決されました。マスコミの取材もきていましたので、新聞各紙でも報道されるかもしれません。

 この事件に関する冷静なご意見を、花水木法律事務所の小林先生がお書きになっているので、参考までにリンクを張らせていただきます。

 http://hanamizukilaw.cocolog-nifty.com/

 法曹人口問題は、世代間対立の問題をはらんでいるというご指摘には賛成です。

 法律家として有能であっても、どうして政治的には稚拙になってしまう弁護士の方が多いのでしょうか。うまくはいかないものですね。

 今回の臨時総会に、ご協力いただいた方々、御支援いただいた方々に対し、心より御礼申しあげます。

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戦争を知らない大人たちに捧げよう。

彼らの過ちは、3つある。

子供たちが自分たちから生まれたと信じている。

子供たちより多くを知っていると思い込んでいる。

子供たちがいずれ自分たちと同じものになると願っている。

それら妄想のばかばかしさといったら、

戦争よりも悲惨なのだから。

~森博嗣著「スカイ・クロラ」より

法曹人口問題に関する決議案~その9~

 大阪弁護士会臨時総会が明日に迫りました。委任状の提出も締め切られたようです。

 複数の方からの情報によると、「8号議案・9号議案とも否決させようとする動きがある。そうなったら困るから是非執行部案(8号議案)に入れて欲しい。」というお願いがきていたそうです。

  もし臨時総会でそのような動きがなければ、執行部が行ったかどうかは別として、執行部側がデマを流していたことになりかねません。

 再度繰り返しになりますが、9号議案はアンケート結果に圧倒的に示されている個々の会員の意思をできるだけ忠実に決議案にしようとしたものです。そして9号議案は、もともと執行部が決議案として当初常議員会に提出していたものです。そして、9号議案自体が、司法改革を否定するものではないことは提案理由を見れば明らかです。

 そして、8号議案でも9号議案でも、マスコミなどからの批判はそう変わらないと予測されます。

 そうだとすれば、不透明な経緯で変更されてしまった8号議案よりも、会員の意見をより素直に表現している9号議案を決議とするべきではないかというのが、私達の考えです。

 執行部や常議員会は、そもそも、会員の意見を集約してその意見に従って動くべき存在なのではないでしょうか。

 確かに、個々の会員の方が何も考えずに意見も出さないのであれば、執行部や常議員会が会員の意思を推し量って勧めていく必要があるかもしれません。また、会員の多数意見が大きな弊害をもたらす危険がある場合には、執行部や常議員会がブレーキをかける必要があるかもしれません。

 しかし、会員の意思が明確に表明されている場合で、しかも、会員の多数意志に従った場合に大きな弊害をもたらす危険があるかどうか全く説明もしないでおきながら、執行部や常議員会に「俺たちが一番良いように考えてやっているから、個別の会員は執行部や常議員の決定に黙って従えばいいんだ。」という権利はないように思います。

 (執行部が、8号議案であれば大きな弊害が出ず、9号議案であれば大きな弊害が出る等のことをきちんと会員に分かるように説明していただければ別ですが、そうでない場合)ここで多くの会員の意見を会派の力でねじ曲げて、執行部・常議員会のメンツを保っても、会内民主制度はますます不健全化していくでしょう。

 私には、その弊害の方が大きいように思われますが・・・・・・・。

 臨時総会に多数の方がご参加下さるよう、お願い致します。

法曹人口問題に関する決議案~その8~

 いよいよと言うべきか、やはりと言うべきか、各会派が臨時総会の意見統制に乗り出したようです。

 執行部案に賛成する委任状を、会派の力を使って集約しているとの情報が聞こえてきました。これが事実であれば、会員提案議案に対して、なりふり構わず反対する行動をとり始めたというように見えます。

 そのような行動を見ると、そもそも会派ってなんだろう・・・・・・と思ってしまいます。私も以前は某会派に所属していましたが、結局幽霊会派員でしたから、会派の意味が分かっていないのです。

 親睦や研鑽目的会派活動であるならば、会派が意見統制するなんておかしなことです。弁護士会の発展に寄与するための会派であるならば、今回の意見統制がどのように弁護士会の発展に寄与するのか明確に示して意見統制すべきです。しかし今のところ、会員の意見を直接反映していると思われる9号議案に反対し執行部の8号議案に賛成する、その明確な理由を説明をしながら意見統制をしているという情報は聞こえてきていません。

 執行部や会派上層部のメンツ・利害関係のために意見統制が行われていないことを願うばかりです。

 なお、代理人選任届の提出締切は,8月4日(月)午後5時迄(必着)です。

 9号議案にご賛成の方は、大阪弁護士会館の8階の秘書課へご提出ください。印鑑を持参すれば秘書課にも用紙は用意されていますので、提出は可能です。

 また、いろんな理由で8号議案に賛成の委任状を出してしまったけれども、やはり9号議案に賛成したいという方は、大阪弁護士会館の8階の秘書課へ9号議案に賛成される委任状をご提出下さい。双方に賛成の場合は、執行部から問い合わせがきてどちらに賛成するのか、聞いてくれるはずです。