これは、伝聞情報も混じっているので、正確性は担保できない話だ。
まず新司法試験の合格者決定に関しては、新司法試験委員会としては、かなり無理をして合格者2000名を維持しているそうだ。かなり無理をしているとは、本来合格するだけの実力がなくても、合格させているということだ。
確かに平成14年3月19日の閣議決定には「司法試験合格者3000人を目指す」 という文言が入っている。しかしその内容は従前このブログでも記載したとおり、あくまで「目指す」という努力目標にすぎないし、その前に、「後記の法科大学院を含む新たな法曹養成制度の整備の状況等を見定めながら、」という前提が付いている。法科大学院がきちんと教育することができており、法曹の質が維持できることが大前提だった。
ところが、司法試験採点委員の意見・2回試験不合格者の増加等から明らかなように、法科大学院を卒業して司法試験を受け、合格される方のレベルは、全体として低下する一方だ(私とて、法科大学院卒業者の方の中に優秀な方がおられることは否定しない。あくまで全体としてのレベルダウンだ)。つまり、法科大学院が法曹にふさわしいだけの実力を身につけさせることができていないということなので、閣議決定は、明らかにその前提が失われている。
しかし、その閣議決定が存在する限り、法務省・司法試験委員会はこれを尊重する運用をしているらしい。そこで、3000名なんて到底合格させられないが、ぎりぎりの選択として、本来合格させるべきでないレベルの方も含めて合格させて、2000人の合格者を維持し、閣議決定と司法試験の質のバランスを取っているそうなのだ。
これは私の意見ではなく、伝聞ではあるが、司法試験委員会に近い人からの情報だ。かなり信用して良いと思う。
私自身旧司法試験で2000番台の成績を取ったことはあるが、合格してから考えると、そんな成績で合格して修習を受けたとしても到底弁護士業ができるレベルではなかった。3000番台の成績なんて、合格を考えるだけでもおこがましいレベルだった。
私の実感からすると、2000人合格だって相当やばいレベルの人が多く混じっているはずだ。
確かに、新司法試験では法科大学院で教育を受けた人だけの争いなのでレベルが高い受験者の争いのはずだという主張もあるだろうが、旧司法試験では毎年500人しか合格しなかったので、実力者が順番待ちをしている状況にあった。どうしてあの実力者が合格できないのかという例がごろごろしていた。新司法試験では5年以内に3回受験してダメなら退場だ。実力があるのに運悪く合格できなかった人がどんどん溜まっていったりしない(できない)制度になっている。
どちらが厳しいとかは分からないが、少なくとも新司法試験で実力者が長蛇の順番待ち状況であるとは聞いたことがないので、私の感覚ではやはり合格者を増やす前の旧司法試験の方が厳しかったのではないかと思う。
(続く)