私と司法修習同期のある先生からご指摘頂いたのですが、3月27日に日弁連が出した法曹養成制度に関する緊急提言は、これまでの日弁連旧主流派(前回会長選挙で宇都宮会長に負けたので、便宜上「旧主流派」と言います。)の方々でも、ある意味驚きだった部分があると言うことでした。
確かに、ある先生から頂いた、宇都宮会長に敗れた山本候補の「敗軍の将、兵を語る」で、旧主流派が担ぎ上げた山本候補は、法科大学院は40校以下が妥当と述べています。
山本候補の文章が、旧主流派の多数意見を代弁しているとするならば、旧主流派も法科大学院を大幅削減しなければ、法曹養成制度は崩壊すると考えていることが伺われます。
そうなると、今の日弁連の態度を説明しようとすれば、旧主流派、現主流派、関係なしに、法科大学院維持派という弁護士の集団がいて、法科大学院維持の緊急提言を日弁連名義で繰り返し出させている、ということになるかもしれません。
その中心に位置するのが、日弁連の法曹養成制度検討委員会(だったかな)であり、そこからの提言があれば、何ら批判的に検討することなく日弁連の意見として提出することを可決してしまう、日弁連理事会です。
おそらく、この双方に、日弁連会員の意見をきちんと反映する方法を取り入れない限り、相変わらず、10年以上前の理想だけを盲信し、現実から目を背け続ける法科大学院維持派の論調は変わらないでしょう。
いつまで、法曹養成制度検討委員会の暴走を許しておくのでしょうか。法曹人口政策会議のように、理事だけではなく各弁連等から委員を募るなどして、会内の意見を吸い上げる努力をどうしてしないのでしょうか。
どれだけ制度の問題点を申しあげても、総務省のパブコメであれだけ酷評されようとも、法科大学院盲信派は現実を見ようとしません。
問題点だらけの、法科大学院制度を放置して損をするのは結局国民の皆様です。優秀で多様な人材が法曹になってくれない(なれない)制度になっているからです。
それだけではありません。法科大学院に投入される税金だって物凄い額になっています。最終的に3割合格するかどうかも分からない法科大学院生全員の教育に税金を投入しているのですから、合格しなかった7割の方にかけた税金は法曹養成の意味では完全に無駄になってしまいます。
法科大学院が無駄な教育ではない、役立つ教育だというのであれば、司法試験に合格しなくても法科大学院卒の方の就職はあっという間に決まるはずです。だって素晴らしい教育を受けている方々なんだから、社会が放っておくはずないからです。ところがそんな事実はありません。社会のニーズに応える法律実務家を養成する教育ができていないことの何よりの証明です。
こんなことなら、旧制度のように司法試験に合格してきた者に充実したプロセスによる教育を施す方が、よほど税金の無駄が省けて効率的です。わざわざ職を辞めて借金をしてまで法科大学院に通う必要もありませんから、多様な経験を持つ優秀な方の受験も増えるでしょう。
一体いつまで、法科大学院・文科省・日弁連内の法科大学院維持派の暴走は続くのでしょうか。