ちょっとおかしくない?

 今日、弁護士会の方から、平成20年6月~平成21年5月までの法律相談の希望アンケートがきていました。それによると、60期の新入会員について、平成20年6月から法律相談を割り当てるとのことです。

 確か、私達の時は、1年間が研修期間でそれを経過してからでないと、法律相談をさせてもらえなかったように記憶しています特に私達は10月登録だったため、実質的には1年半の間、法律相談の割り当てが来なかったような気がします。しかし、60期の新人弁護士さんからはその制約がなくなるようです。

 しかし、それなら何故私達はすぐに法律相談させてもらえなかったのでしょう?何故研修期間が1年必要とされていたのでしょう?新人弁護士は、まだ弁護士の仕事や相談者への対応が分かっておらず、いきなり法律相談させると依頼者に間違って迷惑でもかけたらいけないからというのが研修の理由だったような気がするのですが。

 60期の新人弁護士だって、私達と同じ危険性はあるでしょう。むしろ司法修習期間という実際の仕事を体験する期間が私達より、更に短くなっているのですから、60期の新人弁護士の方が、私達の時より弁護士の仕事、相談者への対応が分かっていない危険性は更に高いはずです。

 それにも関わらず、60期の新人弁護士から、急に研修期間を短くしたのは、やはり新人弁護士の経済的逼迫が理由なのでしょう。この問題の背景には、すでに弁護士が余っており、新人弁護士の経済的状況が悪化していることがどうしても大きな要素となっていると思われます。つまり、新人弁護士が食えないなら(依頼者の危険をかえりみず)食える状況にしてやろうということのようですね。

 大阪弁護士会執行部が、弁護士人口の増加は適正だと考えているのであれば、今まで通り研修期間をおくべきです。それが公平というものですし、依頼者の利益にもなるでしょう。弁護士人口の増加が適正でなく、問題が生じ始めていると考えているからこそ、新人弁護士に法律相談を認めるのではないでしょうか。

 そうだとすれば、何故その問題を放置しているのでしょうか。

 仮に大阪弁護士会執行部が、そういう理由ではないというのであれば、私達が研修期間をおかれていた理由を明確に説明してもらいたいところです。私達は、他の弁護士と全く同じ弁護士会費を支払いながら、その期間は法律相談を受けて仕事を手にする機会を奪われたわけですから。

 この問題の解決として最も効果的なのは、弁護士の需要に合わせた合格者に限定することです。その根本問題を放置して、とにかく新人弁護士は経済的に困っているから、それを解消してやらなければならないという理由で、研修期間を短くして依頼者に迷惑をかけるかもしれない方法で行おうとしているのが大阪弁護士会です。新人弁護士の日弁連会費を半額にするという日弁連の小手先の対応と全く手法は同じです。

 癌で苦しんでいる患者に、根本問題を除去するための手術を行わず、とりあえずお腹が痛いようだからと胃腸薬を与えているに過ぎません。このような小手先の対応では、事態は全く解決されないばかりか、癌が進行するままに放置し、取り返しのつかない事態を自ら招き寄せているようなものです。

 どんな名医でも死んでしまった人を生き返らせることは出来ません。生きているうちに、対策を取らないと大変なことになりますよ。

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