第85回 日本刑法学会 その2

 学会に参加する場合の、私の個人的な楽しみの一つに、大学時代の恩師にお会いできることがあげられます。

  私は京都大学時代に、刑法の中森喜彦教授のゼミに所属し、オブザーバーとして刑事学の吉岡一男教授のゼミに参加していましたから、お二人の先生にお会いできるかもしれない刑法学会は、とても楽しみなのです。

 前々回の学会では、お二人の先生にご挨拶できたのですが、今回は、中森先生だけにお目にかかることができました。

 私が厚かましくも先生との写真を撮らせて頂きたいとお願いすると、先生は、「何で僕が君に写真とられなあかんのや」などと仰りながらも、「外で撮ろうか」と快く(?)了解して下さいました。  中森先生のお弟子さんで、島根大学の足立友子先生が一緒におられたので、足立先生にお願いして先生とのツーショット写真を撮って頂きました。もちろん私も、中森先生と足立先生のツーショット写真をお撮りしました。

 吉岡先生にお会いできなかったのはとても残念ですが、中森先生は私が大学時代にお世話になっていた頃と、全くと言っていいほどお変わりなく、若々しい姿でいらしたので、中年まっしぐらの私にはとても羨ましく思えた程です。

 後日、デジカメデータを中森先生にお送りすると「学会ご苦労でした。奇特なことです。」とお返事を頂きました。学会に参加するのは奇特なことなんだと初めて知りました(笑)。

第85回日本刑法学会 1

去る、5月26・27日に名城大学で開催された、第85回日本刑法学会に参加してきました。

私のお目当ては、初日の午後に開催される共同研究第1分科会「経済活動と刑法」でした。 企業不祥事が続発する昨今、企業のコンプライアンスプログラム策定の取り組みがどのように企業の刑事責任に反映されるかは必ずしも明確ではないということで、共同研究を行う趣旨でした。 諸論点について、実務家(弁護士)・企業法務担当者・研究者らのそれぞれの立場から報告・検討がなされ、活発な質疑応答もなされていました。

個人的には、企業法務担当者の方の実際の取り組みが非常興味深いものでした。日本を代表する企業はそこまで配慮しているのかと感心させられる内容をお話し頂き、もう少し突っ込んだ議論を聞きたかったのですが、時間切れになってしまいました。

当事務所でも内部統制システムに関するセミナーを7月24日に開催予定ですが、日本刑法学会で得た知識等についてもふまえた上で、セミナー開催に当たれればと考えております。

初めての遠近両用眼鏡~その1

 先日、ためしてガッテンだったかで緑内障は怖いという番組を見た。その後、どうにも左目がかすむような気がしてきた。気にすれば気にするだけ、かすみがあるような気がしてきた。こいつは不安だ、と思ったので、眼科で診察を受けてみた。

 眼圧検査の他、暗闇の中で赤い点を見つめさせられて、目玉を調べられる検査などを受けた。結果的には、眼圧などの異常はなかったようで、特に病気を指摘されることはなかった。

それはそれで良かったのだが、その際に、S弁護士は眼鏡の度数が合っていないことを指摘された。

そういえば、ずいぶん前に作った度数のまま、変更してなかったので、「それなら新しい眼鏡をつくります」、と答えたところ、眼科の先生から遠近両用眼鏡を勧められてしまった。

遠近両用眼鏡といえば、眼鏡のレンズの下半分に凸レンズがくっついているイメージ。しかも、S弁護士の勝手な、遠近両用の眼鏡をかけている人の印象ときたら、他人とお話しする際には、眼鏡が下側にずり落ちていて、眼鏡のレンズを通さずフレームの上端越しに見られているような、妙な感じ。なんとなく、頑固で意固地な古本屋の親父がかけていて、ときおり客をじろっと睨んでいそうな雰囲気しか記憶にない。

は~、ついに老眼鏡を兼ねた眼鏡か~。

認めたくないけれども、老いぼれてきてるんだなぁ~、とため息をつきながらも、S弁護士は勝ち目のない最後の抵抗を試みる。

S弁護士 「あのう、今までの近眼用の眼鏡だとダメでしょうかね・・・」

先生 「あのね、どっちにしても老眼は40歳半ばから進行してるの。今から慣れておかないと将来、急に遠近両用に変えたって、慣れるのが大変なんだから!階段踏み外すよ~!!あたしだって、ちゃんと遠近両用の眼鏡持ってるし。」

ちゃきちゃきとした眼科の女医さんに、早口でまくし立てられ、バッサリと斬られた。

「いや、でも、先生、持ってはるってゆうても、眼鏡、かけてはらへんやないですか・・・・」と切り捨てられながらも、混ぜっ返したいところをぐっとこらえるS弁護士。

餅は餅屋。訴訟は弁護士。基本はその道の専門家に任せた方が良いのだ。

極度のド近眼のS弁護士は、相当対象に近づかないとピントが合わないため、あまり近くが見にくいということはない気がするのだが、それはあくまで本人がそう思っているだけなのだそうで、老眼は確実に進行しているらしいのだ。

眼科医院の中で、レンズを何枚か差し込める、見た目がかなり間抜けな、マッドサイエンティストがかけていてもおかしくない眼鏡を装着され、レンズをとっかえひっかえし、気分が悪くないか、近くや遠くは見えるか、等と散々質問を受けたあげくに、ようやく処方箋を頂けた。

もう腹は決まった。どんなにアンチエイジングに狂っている人でも、結局は寿命が来る。つまりどうあがいたところで、結局、加齢による老化には勝てないのだ。しかも処方箋までもらっちまった。どうせ人間は生まれながらに老いていく存在なのだ。それなら、年相応に遠近両用眼鏡にトライしてやろうじゃないの。今までどおり、運動するときは使い捨てコンタクトを使えば良いんだし。

たかが眼鏡を作ることを決めただけで、勝手に盛り上がるS弁護士であった。

さて、次は眼鏡の注文だ。

(続く)

英雄たちの栄光と挫折

NHK映像の世紀プレミアム第4集「英雄たちの栄光と挫折」

再放送があるなら必見。

私には、チェ・ゲバラが特に強く印象に残った。

もし私たちが空想家のようだと言われるならば、救い難い理想主義者だと言われるならば、できもしないことを考えていると言われるならば、何千回でも答えよう”その通りだ”と。

全ての人間が自分の卑しさを乗り越えながら、前進することが可能なのだと答えよう。

                                       エルネスト・チェ・ゲバラ

 このような想いを持ち続けたゲバラという人間に興味を持ち、何十年か振りに伝記というジャンルの本を手に取ることになった。

そこで描かれる、

南米での北米資本による搾取の横行と、「人が人を搾取すること」を許せなかったゲバラ。

「世界のどこかで、誰かが蒙っている不正を、心の底から深く悲しむことのできる人間になりなさい」、と子供への手紙に書いたゲバラ。

 キューバ革命、カストロ、ゲバラのことを「共産主義」という、勝手な思い込みでひとまとめにして、これまで触れようともしてこなかった自分を少し後悔している。

司法試験知識習得法(短答式試験編)

 私が講義を受け持っている関西学院大学の司法特別演習Bの学生さんにも、法曹を目指す人が半分近くいます。

 そのうち何人かから、短答式試験に向けて、知識がまだついていないのですがどうしたらよいですか、と質問を受けることがありました。

 基本3科目(憲法・民法・刑法)のうち、おそらく初学者の方が知識不足を感じられるのは、民法・刑法各論ではないかと思います。知識を身につけるためには、結論的には司法試験短答式試験問題が非常に優れています。

 本来であれば、基本書で大まかな法律の概要を捉え、どの知識がどの部分に該当しているのかを考えつつ知識を習得することが本筋なのでしょうが、もう時間がないという方には、短答式試験の過去問が非常に大きな武器になります。

 短答式試験問題は、司法試験委員が長年にわたって出題してきた良問であり、これだけは分かっていて欲しいと考えている部分がほとんどです。逆に言えば、過去問を完全に解ける受験生は、司法試験委員が分かって欲しい部分を理解しているわけですから、落とされるはずがないと考えることもできるはずです。予備校の問題集を解くくらいなら、過去問のほうが間違いなく力がつきます。

 知識不足の方は、短答式試験問題をみて、問題の肢ではどの部分が一番問題になりそうか、あたりをつけたら、解答をすぐ見るという方法をとることも一つのやり方でしょう。但し、何もあたりもつけずに解答を見ても問題意識を持っていませんから、頭に入りませんのでご注意下さい。

 確かに全体構造を把握してから部分的な論点を押さえるやり方はオーソドックスですが、ある程度知識がないと全体構造すら把握できない場合もあります。英文解釈をする際に文法は大事だが、単語がわかると文章の意味が分かり、それを続けていくと何となく構文も分かる場合があるという経験をされた方もいるでしょう。それと似ています。 

 過去問だけでも膨大ですが、何度も繰り返して解いているうちに、物凄いスピードで解けるようになります。私の受験時代では、試験直前には短答式試験問題S56年以降の全問題を、1科目1日で十分解けるようになっていました(実際には二日で三科目を回していました)。

 ただし、過去問は完璧に解けるけれども、どうも短答式試験に合格しないという人は注意が必要です。そのような方は、答えを暗記してしまっており、問題を解いているのではなく解答を出すだけで満足している可能性があります。問題を解く以上は、その肢を選ぶ根拠・選ばない根拠まで頭の中で考えてから、その解答肢を選ばなくてはなりません。しかし、これは意外に骨が折れます。人間は弱いもので、練習であったとしても間違いたくないという心理が働きます。その心理が強く働くと、問題を解いているのではなく、暗記した解答をはき出しているだけであっても、そのことに気づけません。

 例えば、何度も過去問を解いていると、問題を見た瞬間、この問題の答えは〇だな、と分かってしまいます(そのレベルまでいっていない方は、明白に勉強不足ですのでもっと時間をかけて過去問を勉強して下さい)。しかし、答えを〇と出すことが過去問を解く目的ではありません。過去問で問われている知識が身に付いているかどうかが問題のはずです。ですから、問題を見て仮に答えが〇だ、と分かったとしても敢えて、選択肢1は条文〇〇〇条〇項の~~という文言に明らかに反しているので誤り、選択肢2は最高裁判例に反しているので誤り、選択肢3は・・・・・・というように頭の中でその選択肢を判断する過程を明らかにしながら、根拠をもって解答するよう心がけることです。

 このように過去問を解けるようになれば、短答式試験は恐れる必要はありません。みんなが過去問をつぶしたらどうなるのだという質問をされる方もいますが、過去問をそこまで何度も繰り返し解いて、過去問の要求する知識を身につけることだけでも大変です。そのレベルをクリアーして、やることがなくなったら初めて次の課題を考えればいいのではないでしょうか。私の経験では、次の課題を考えるまでもなく短答式試験には合格してしまうと思いますが。

 ※但し、勉強方法は個人によって大きな差がありますから、自分にあった方法を探すことが一番です。あくまで参考として、記載していることをお忘れなく。