弁護士業務実態報告書2020から~8

☆隣接士業等資格保有者との関係(無回答を除く)

~弁護士はどの士業と協力関係を多く持っているか?

(1)外国法事務弁護士
・紹介、被紹介実績あり       2.0%
・紹介可能、被紹介可能者がいる    7.2%
・いない             80.1%

(2)外国弁護士
・紹介、被紹介実績あり       3.3%
・紹介可能、被紹介可能者がいる    5.5%
・いない             80.6%

(3)弁理士
・紹介、被紹介実績あり       6.1%
・紹介可能、被紹介可能者がいる   17.6%
・いない             66.3%

(4)税理士
・紹介、被紹介実績あり      38.7%
・紹介可能、被紹介可能者がいる   31.5%
・いない             25.6%

(5)公認会計士
・紹介、被紹介実績あり      12.6%
・紹介可能、被紹介可能者がいる   29.8%
・いない             48.5%

(6)司法書士
・紹介、被紹介実績あり      38.8%
・紹介可能、被紹介可能者がいる   30.5%
・いない             25.6%

(7)行政書士
・紹介、被紹介実績あり      14.5%
・紹介可能、被紹介可能者がいる   24.9%
・いない             51.3%

(8)社会保険労務士
・紹介、被紹介実績あり      12.0%
・紹介可能、被紹介可能者がいる   28.2%
・いない             50.6%

(9)不動産鑑定士
・紹介、被紹介実績あり       5.8%
・紹介可能、被紹介可能者がいる   24.2%
・いない             60.9%

(10)土地家屋調査士
・紹介、被紹介実績あり       7.0%
・紹介可能、被紹介可能者がいる   24.7%
・いない             59.5%

(11)中小企業診断士
・紹介、被紹介実績あり       1.8%
・紹介可能、被紹介可能者がいる    9.8%
・いない             78.1%

(12)社会福祉士
・紹介、被紹介実績あり       5.9%
・紹介可能、被紹介可能者がいる   12.7%
・いない             71.5%

※業務(仕事)を紹介したり紹介されたりする実績ありと回答された士業は、税理士及び司法書士が高い割合を占めている。また業務紹介も紹介されることも可能な人がいる割合も税理士・司法書士が高い割合を示している。

※相続に関連する相続税の問題や、不動産に関連して登記の問題が不可避となる場合もあることから、税理士、司法書士の知り合いを開拓しておくことは弁護士としても有益であると思われる。

弁護士業務実態報告書2020から~7

非経営者弁護士の自己自身案件の受任体系
(経営者でない弁護士は自己事件を受任出来るか、できるとしてどのような形態なのか?)

☆全体の傾向


 ・引受け可、収入は全て自分のものとなる 32.7%
 ・引受け可、一部事務所に納入      51.1%
 ・引受け不可、事務所等受任の上で担当   6.8%
 ・引受け不可                2.7%
 ・その他                  5.3%
 ・分からない                1.2%
 ・無回答                 0.2%

※ 事務所宛に依頼が来たわけではなく、その弁護士に直接依頼したいという依頼者が来た場合に、その依頼者の事件を事務所とは関係なく自分の事件として受任して処理して良いかという問題である。

※ 経営者弁護士からすれば、経営者でない弁護士は事務所の賃料や事務員の給与など事務所を維持する経費を負担していないことから、自己事件を受任することを認めるか、認めるとしてもどういう条件を課すかが問題となる。

※ 全体の傾向としては、2010年調査時と比較して、自己事件引受け可能で収入は全て非経営者弁護士のものとなる形態の割合が41.8%→32.7%とほぼ10%ダウンしている。

※ また、引受け可能であっても、一部を事務所に納入する形態の割合は2010年調査時と比較して42.9%→51.1%となっている。

※ 以上から、非経営者弁護士が事務所経費を負担せずに自己事件を行える割合が減少し、非経営者弁護士が自己事件を行う場合に収益の一部を事務所に納入させる割合が増加していることになる。

※ 経営者弁護士の経営が余裕たっぷりなら、非経営者弁護士に自己事件をさせてその収益が事務所に入らず非経営者弁護士の収入となっても、経営に大きな問題とならないであろうことから考えると、経営者弁護士の事務所経営に余裕が失われつつある傾向にあると見てよいであろう。

☆地域による傾向


※ 引受け可、収入は全て自己(要するに非経営者弁護士にとっては、事務所経費を負担せずに自分で事件を取ってきて処理できるという恵まれた環境~いわゆるノキ弁は除く)の割合は、高裁不所在地が他の地域よりも低い。したがって、誤解を恐れずにわかりやすく言えば自己事件に関して言えば、田舎の方に行けば行くだけ、非経営者弁護士にとって恵まれた環境になりにくいともいえる。

☆期別の傾向


※ 自己事件引受け可、全て自己収入となる割合は、期が若くなるほど減少する傾向に見える。また、自己事件引受け不可(事務所等受任の上担当、引受け不可)の割合は、60期以降に見られ期が若くなるほど自己事件引受け不可の割合が高くなる。特に完全に引受け不可の割合は、70期以降では9.0%(事務所等受任の上担当も含めれば16.7%)にものぼる。つまり、弁護士としての経験が浅いほど、自己事件を自分で受任して自分の収入とすることが許されなくなってきている70期以降では6人に1人は自己事件が引き受けられない状況傾向にあるといえる。

※ 上記の傾向はおそらく、大規模に広告を打って全国展開している弁護士法人の勤務者が若手に多いことも影響していると思われるが、経営者弁護士からみれば、仮に自己事件をやらせて失敗すれば事務所の名前にも傷がつくので、経験の浅い弁護士の処理能力に不安を覚えて自己事件を受任させていない可能性も考えられる。

☆性別による傾向


 男女の間で大きな差は見られないようである。

弁護士業務実態報告書2020から~5

(各事務所の経営者弁護士の数は?)

☆全体の傾向

・1名          45.4%
・2名           15.4%
・3~5名         18.5%
・6~9名          6.9%
・10~19名        5.9%
・20名以上         5.8%
・無回答          2.1%

※2010年調査では経営者弁護士1名の事務所割合は59.1%であったことから、複数人による経営が進んでいる。

☆地域による傾向

※東京の経営者弁護士1名事務所の割合は39.8%で、東京地域の中では最も多い割合だが、他の地域と比較すれば低い。東京での複数人による経営の傾向は進んでいる。また、2010年調査では、東京の経営者弁護士1名の事務所割合は48.8%であったが、さらに複数人での経営傾向が進んでいる。なお、東京では経営者弁護士数6名以上の事務所割合が他の地域よりも高くなっている。
※大阪・愛知においても、経営者弁護士が1名の事務所は41.2%で同地域内ではもっとも比率が高い。2010年調査では60.2%であったことと比較すれば、急速に複数人経営の事務所が増加していることになる。
※高裁所在地、高裁不所在地でも経営者弁護士数が1名の事務所はそれぞれ50%強と最も多い割合であるが、2010年調査ではそれぞれ69.8%、72.4%だったので、やはり急速に複数人経営の事務所が増加していることになる。

いずれの地域でも経営者弁護士の複数化が急速に進行中である。その原因は分析されていないが、私見では、経営環境の悪化から固定費のリスクを分散する必要性が高くなってきたこと、広告等により大規模に集客する弁護士法人の全国展開などが理由ではないかと考えられる。

☆期別による傾向

※70期以降の弁護士が所属している事務所のうち、17.7%が経営者弁護士数20名以上、9.2%が経営者弁護士数10~19名以上であり、70期以降の弁護士のうち1/4以上が経営者弁護士が多い大規模事務所に所属していることが分かる。

→経営者弁護士が多い事務所は一般的に大規模事務所であり、70期以降の弁護士は大規模事務所に所属する傾向が強いということである。おそらく大規模に広告を行って集客する全国展開中の弁護士法人等が、集めた事件を処理するために多くの若手弁護士を吸収しているのではないかと考えられる(私見)。

☆性別による傾向

※経営者弁護士数の観点から、男女の比較を行うと、経営者1名の事務所に所属する男性弁護士は46.7%、女性弁護士39.7%、経営者2名の事務所に所属する男性弁護士は14.5%、女性弁護士20.0%、であり、女性弁護士の方が経営者2名の事務所に所属している傾向が強い。その他の形態の事務所では、男女比率に大差がない。

→私見であるが、男性比率が高い職業であることから、男性経営者弁護士1人の事務所が多いと考えられることから、経営者側としても参加者側としても、異性弁護士と1対1になる状況を避ける傾向があるのではなかろうか。

(続く)

弁護士業務実態報告書2020から~4

(事務所に所属する弁護士数はどのくらいか?)

☆全体の傾向


・ 1名          21.7%
・ 2名           16.6%
・ 3~5名         24.5%
・ 6~9名         13.7%
・ 10~19名        8.4%
・ 20名以上        13.6%
・ 無回答           1.5%

※2010年調査では、弁護士1名事務所の割合が全体で34.1%であり、所属弁護士1名の事務所が激減(34.1%→21.7%)している。
※2010年調査では、弁護士数6~9名の事務所の割合が8.4%であり、所属弁護士6~9名の事務所の割合が大きく増加(8.4%→13.7%)している。

☆地域による傾向

※東京では、
 所属弁護士1名の事務所が2010年調査時には26.2%あったが、2019年調査では17.4%と大きく減少している。
 その反面、
 弁護士数6~9名の事務所は11.4%→15.3%、
 弁護士数20名以上の事務所は18.0%→21.8%に増加している。
※大阪・愛知でも
 所属弁護士1名の事務所は2010年と比較して34.1%→20.6%に大きく減少。
 弁護士数10~19名の事務所は4.7%→8.3%、
 弁護士数20名以上の事務所は5.1%→13.6%に大幅増加。
※高裁所在地では、
 所属弁護士1名の事務所が39.8%→25.7%と減少
 所属弁護士3~5名の事務所は28.1%→36.2%、
 所属弁護士数6~9名の事務所も6.3%→9.9%に増加
※高裁不所在地では、
 所属弁護士1名の事務所が45.7%→27.8%に減少
 所属弁護士6~9名の事務所が4.9%→11.9%
 所属弁護士数10~19名の事務所2.4%→6.0%
 所属弁護士数20名以上の事務所 0.5%→3.4%と増加

以上から、どの地域も、弁護士1人の事務所は減少し、複数の弁護士が所属する事務所、大規模事務所が増加する傾向にある。都会になるほどその傾向は強いと考えられる。

☆期別による傾向

・70期以降の弁護士では、所属弁護士数20名以上の事務所に所属する割合がもっとも高く28.4%、、10~19名の弁護士が所属する事務所に所属する弁護士も含めるとほぼ半数に及ぶ。
・66~69期の弁護士では、弁護士数3~5名の事務所に所属している割合が30.7%で最も高い。次いで、弁護士数20名以上の事務所に所属している割合が19.7%で高くなっている。
・50期以降の弁護士は、概ね66~69期の弁護士の傾向に近い。

※複数弁護士の所属する法律事務所の増加、法律事務所の大規模化傾向に加え、若手弁護士が大規模事務所に多く所属していることが分かる。


 背景には売上の伸び悩みから経費負担リスクの分散の必要性が生じてきたこと、広告等を行い大量に事件を集める全国型弁護士法人が、集めた事件を処理する為に多くの若手弁護士を採用している可能性があるのではないかと思われる(私見)。

☆性別による傾向

※男女別に見ると、所属弁護士数1名の事務所に所属している女性弁護士の割合は男性の約半分の割合(♂23.4%、♀12.8%)となっており、弁護士が1人で事務所を開設する際に女性の割合が少ない傾向が顕著といえそうである。
 一方、弁護士数10~19名、20名以上の事務所に所属する弁護士の男女別の割合はほとんど差がみられない。


 以上から、1人で事務所を開設する弁護士は男性が多い傾向にあると考えられる。

(続く)

弁護士業務実態報告書2020から~3

(事務所の経営形態はどのような傾向にあるか?)

☆全体の傾向
・1名の弁護士のみが経営に携わる事務所  42.2%
・複数の弁護士が経営に携わる事務所     44.4%
・法人経営の事務所             12.7%
・その他                  0.7%

※2010年との比較では法人経営の事務所5.6%→12.7%と倍増している
※2010年との比較では複数人が経営する事務所が増加傾向にある。

☆地域による傾向
※高裁不所在地の比較データしかないが、2010年との比較で
 個人経営事務所が68.0%→47.3%(減少)
 共同経営事務所が23.3%→37.4%(増加)
 法人経営事務所が 7.3%→14.9%(増加)
※ 全国に支店を持つ弁護士法人の増加が関連しているのではないかとの指摘。

☆期別による傾向(法人経営の事務所に所属する割合)
・70期以降    31.9%
・66期~69期  19.7%
・60期~65期  13.2%
・54期以前     7.0%未満

※法人経営形態の事務所で期の若い弁護士が多く活動する傾向がある。

※全国に支店を持つ弁護士法人が、TVCM等を利用して顧客を集め,その事件処理のために期の若い弁護士を多く採用している可能性が考えられる(私見)。

☆性別による傾向
(男性)
・1名の弁護士のみが経営に携わる事務所  43.6%
・複数の弁護士が経営に携わる事務所     42.4%
・法人経営の事務所             13.2%
・その他                  0.8%
(女性)
・1名の弁護士のみが経営に携わる事務所  35.7%
・複数の弁護士が経営に携わる事務所     53.8%
・法人経営の事務所             10.2%
・その他                  0.3%
※複数弁護士が経営に携わる事務所に女性弁護士が所属する割合が高い。この傾向は2010年調査時も同様であるとのこと。
※2010年調査時での法人経営の事務所に所属する弁護士比率は男性・女性とも5.5%であったことと比較すると、法人経営に所属する弁護士の割合が大きく増加しているといえる。

(続く)

弁護士業務実態報告書2020から~2

(弁護士はどんな場所で働いているのか?)

☆全体の傾向
 ・ひまわり基金法律事務所       0.3%
 ・都市型公設事務所          0.4%
 ・法テラス法律事務所         0.7%
 ・企業                7.6%
 ・官庁・自治体             0.3%
 ・外国法共同事業事務所         0.9%
 ・それ以外の一般的な法律事務所    89.3%
 ・その他                0.5%
 ・無回答                0.1%

※10年前と比較すると、企業内弁護士が1.8%→7.6%と増加していることが注目されるが、企業と官庁・自治体を併せても1割に満たないことから、弁護士の働く環境が多様な広がりを見せているとまではいえない。

☆地域による傾向
 東京では、一般的な法律事務所に勤務する弁護士は83.8%(全体と比して5.5%低い。)、企業に勤務する弁護士は12.8%(全体と比して5.2%高い)となっており、東京の弁護士にとっては、企業で弁護士として活動する領域が広がっている。
 しかし、それ以外の地域では、一般的な法律事務所で勤務する弁護士がほぼ94%であり、東京以外では弁護士の活動領域が拡大しているとはいえない。

☆性別による傾向
 女性弁護士が企業内弁護士として活動する割合が14.2%となっており、男性が企業内弁護士として活動する割合6.1%と比較して、女性弁護士が企業内弁護士となる傾向が男性よりも相当高いと見られる。
 官庁・自治体で弁護士として活動する割合も、男性0.3%に対して、女性0.5%となっており、女性弁護士の方が官庁・自治体に所属する比率が高い
 登録間もない弁護士が企業等で活躍する傾向にあることを合わせ考えると、女性の場合出産等のために休業が取りやすい活動先が選択されている可能性が高い(裏を返せば、一般法律事務所では出産等のための休業等を取りにくい可能性があるのかもしれない)。

(続く)

日弁連法曹人口検証本部の取りまとめ案について~2

 日弁連の構成員は弁護士である。そして、弁護士という仕事も職業である以上、弁護士は弁護士業で自らや家族の生活を維持しなくてはならない。そうだとすれば、日弁連は会員である弁護士の生活をより維持しやすい方向で政策提言していく必要があるのではないか。

 医師会だって、医療過疎問題についても、まずは医師の収入が確保できるかが大前提だという姿勢を崩していない。司法書士会は、弁護士の仕事を司法書士にも開放しろと司法書士の今後の生活にプラスになる提言を続けている。税理士会だって同様に会員である税理士の生活を守る方向の提言を行っている。

 ところが、今回の検証本部の取りまとめ案は、結局は現状の弁護士激増を容認するものだから、日弁連会員である弁護士の生活が今後さらに危うくなっても構わないという方向の取りまとめ案なのである。

 要するに日弁連は、税理士会や司法書士会よりも多額の日弁連会費を納めさせておきながら、会員である弁護士の生活を危うくする方向の提言を打ち出そうとしているのである。


 おそらくその裏には、日弁連執行部が法科大学院制度を推進する方針を選択し、法科大学院制度を維持するためには司法試験合格者1500人を維持しなければならないという事情があると思われる。
 しかし、法科大学院制度導入により法曹志願者は激減し、優秀な人材が法曹界を避けるようになったとも言われている。司法試験合格率もかつては2%程度だったものが現在では、志願者が少なく合格者を多く維持しているため、合格率はほぼ50%近くというザル試験になっている。実際に法科大学院の半数以上は廃校になるなど、法科大学院制度は大失敗、税金の無駄使いだったとしかいいようのない制度であることが分かってきている。

 しかし、法科大学院制度を守ったところで、優秀な法曹を輩出できず法曹業界が焼け野原になり、司法に対する国民の信頼を失ったら全く意味がないではないか。

 そもそも法科大学院制度は優秀な法曹を多く産み出すという目的のための手段にすぎず、法科大学院制度の存続が目的なのではない。だから優秀な法曹を他の手段で生み出せるのなら法科大学院制度は不要なのである。

 そして、大手法律事務所が法科大学院卒業生よりも予備試験ルートの司法試験合格者を優先して採用していることからも分かるように、実務界では予備試験ルートの司法試験合格者の方が使えると見られているのである。

 法科大学院制度を推進したことが間違いだったのであれば、その間違いを認められずに法科大学院制度と心中するのではなく、方針の誤りを素直に認め、次善の策を採ることこそが日弁連執行部の取るべき途ではないのか。
 

 前にも書いたように思うが、対戦車の戦いを想定して軍備を整えていたところ、実際には航空機で攻撃された場合に、対空戦闘に切り替え、そのための武器を本部に要請するのが指揮官として当然の行動だろう。

 今の日弁連執行部は、航空機による爆撃を受けているにもかかわらず、対戦車の軍備方針は正しかったはずなのだから、さらに戦車の増援を本部に求めているような状況であり、ある意味完全に兵士に無駄死にを強要する超無能な指揮官にすら見えてくる。

 検証本部の各委員の先生方のご努力には敬服するし、各委員の先生方が無能であるなど全く思っていないのだが、検証本部の指揮官(≒日弁連執行部)がこれ程無能では、検証本部としては、結局ロクな方針が打ち出されそうにない。

 さらに言えば、日弁連執行部は司法過疎解消を叫び続けている。今回の提言案にも司法過疎問題も影響しているかのような記載もある。

 しかし、日弁連執行部を務めた弁護士が司法過疎解消のために自ら過疎地に赴いた話は、少なくとも私は聞いたことがない。

 結局、日弁連執行部は、「しんどいことでもやりますよ~」と、対外的にええカッコしておきながら、その実行は若手や新入会員などにやらせる傾向にあるのだ。

 私に言わせれば、司法過疎なんて簡単に解消できる。日弁連執行部を務めた弁護士が5~10年、司法過疎地で勤務するように義務づけすれば良いだけだ。だって日弁連執行部が司法過疎解消したいと述べているんだから、その方針に賛同した執行部にいた人達は、司法過疎解消に積極的なはずだから、やりたきゃ自分でやりゃあ良いのである。

 高い会費を取っておきながら、弁護士の生活を顧みない方向の提言をするなど、なに考えてんだ。

 そろそろ、会員が安心して暮らせる方向の提言を出してみたらどうなんだ。


 

日弁連法曹人口検証本部の取りまとめ案について~1

 

 日弁連の法曹人口検証本部が出そうとしている、法曹人口政策に対する対処方針案を見る機会があった。

 日弁連法曹人口検証本部の議論状況については、複数のところから聞き及んでいる。その内容からすれば、委員の方々が様々な意見を述べても、検証本部の本部長などは適当に聞き流しているような印象がある

 さて、法曹人口政策に対する対処方針案を読むと、「現時点において司法試験合格者の更なる減員を提言しなければならない状況にない。」という内容でのとりまとめを行おうとしているようだ。

 はっきり言って、検証本部の本部長は、日弁連主流派の意向に逆らわないから、日弁連主流派・日弁連執行部の意向が、「現時点において司法試験合格者の更なる減員を提言しない」というものであるということだ。

 私は、日弁連執行部は阿呆か、と言いたい。

 そもそも、司法制度改革審議会意見書(2001年)に基づいて、司法試験制度や法科大学院制度、法曹養成制度の改革も行われてきた。その改革の出発点はどこにあるかと言えば、司法制度改革審議会意見書作成時点で、今後は法的紛争が複雑化し、更に増加すると見込まれていたからだ。

 そのような法的紛争の増加が見込まれたからこそ、国民の皆様からの需要が増大するだろうし、その国民の法的需要を満たすために法曹人口も増大する必要があるから増員すべきという意見だったはずだ。

 ところが、実際には一時期過払いバブルによる事件増加はあったものの、裁判所に新たに持ち込まれる事件数(全裁判所の新受全事件数)で比較すると、
司法制度改革審議会意見書が出された平成13年は5,632,117件あったものが、平成30年には3,622,502件まで減少している(2019裁判所データブックによる)。

 裁判所に持ち込まれる事件数が35%以上の減少だ。司法制度改革審議会意見書の論旨からすれば、法曹人口増員の必要などなかったことになるはずなのだ。

 なお、この間に弁護士の数は倍以上(平成13年で18000人前後→平成30年で40098人)になっている。
 つまり、単純計算すると、平成13年には100のパイを10人で分けていた(1人あたり10個)のが、平成30年には65のパイを20人で分ける状況(1人あたり3.25個)になったのだ。

 この状況で、現状の司法試験合格者が1500人を割り込んできているにもかかわらず、更なる減員をすべきではないと提言することは、日弁連は司法試験合格者1500人維持を主張していると対外的に受け取られるだろう。

 それは、実際には、減少していくパイをさらに多くの人間で分け合う(奪い合う?)傾向をより強めようとすることに等しい。

 要するに、さらに弁護士資格の経済的価値が減少することを促進しても構わない、ということだ。

ところが、日弁連法曹人口検証本部は、裁判所の統計は確かにそうだが、裁判所に持ち込まれる事件以外の事件が増えている印象があるから、弁護士人口の急増を維持し続けても良いのだ、と主張するようだ。

 客観的である裁判所の統計資料から読み取れる状況よりも、感覚的な印象を優先することは、裁判で明確な証拠を突きつけられながら、私の印象は違いますと言っているようなもので、法律家として極めて低レベルの議論としか良いようない。

(続く)