年甲斐もなく・・(ライセンス取得記2)

(前回の続きです。)

 こういう情報収集には、ネット検索が役に立つ。

 どうやら鈴鹿サーキットではエンジョイAライという、Aライセンスを僅か1日で取得させる講座もあるようだ。ずぶの素人が1日でAライを取得できるというのも凄いが、ただ、その講座は今年は年に数回しかやらないようだし、費用が結構かかる。JAFのBライを持っていない場合は10万円超えの費用がかかるようであった。

 調べてみると、国内Aライセンスは、まずはJAFの会員であることが大前提であったが、それはもう20年ほど前から保険と思って継続会員であるS弁護士にとっては何の支障にもならない。

 また、国内Bライセンスから取る必要があるが、特別な才能も全く必要なく、ぶっちゃけていえば誰でもお金と時間さえかければAライが取れるものだということが分かってきた。

 ということはAライを持っていても、それだけでは、実際には「な~んだ大したことねーや」ということなのだが、世の中そんな知識がない人が殆どである。

 私も誤解していたが、国内Aライの正式名称はJAFモータースポーツの公式HPでは、「国内競技運転者許可証A」、略称で「国内Aライセンス」となっており、「A級ライセンス」ではないのである。これに対して審判員の資格はA1級など「級」がついているようだ。

 しかし、「ちょっと国内ですけどA級ライセンスをこのたび取得しまして・・・」と正式名称「国内競技運転者許可証A(国内Aライセンス)」のことすら知らない人に言えば、なんとなく「おおっ!自動車の運転がお好きな方ですなぁ・・・」となりそうな気がしないでもない。

 それはさておき、経済観念がしっかりしている大人からすれば、できるだけ安くかつ簡単に(楽に)Aライを取得したくなるものである。

 そのためには、まずBライを先に取得する必要がある。これは講習会に参加するだけで取得が可能であることが分かってきた。

 Bライの取得条件はJAFモータースポーツの公式HPによれば、
(1)普通自動車以上の運転免許証か、外国のこれに相当する運転免許証の所持者であること(ただし、18歳以上)。
(2)JAFの個人会員であること。
の2条件を満たした人が
 Bライの講習会を受講すればそれでOK。

 Bライの講習会の日程等は、JAFモータースポーツの公式HPで検索可能であるし、JAFの各地方本部に問い合わせても分かるそうである。

 Bライ講習会のカリキュラムについて、「国内競技規則や国内競技車両規則などの諸規則の説明、モータースポーツを始めるにあたっての心構えなど、講師のお話を聞くだけでOK。試験などはありません。」とJAFモータースポーツの公式HPには記載がある。

 お話を聞くだけなら、誰だって、S弁護士にだって可能である。
 Bライはもらったも同然だ。

 
 ただ、どうせなら楽に取りたいものだ。

 そう考えてJAFモータースポーツの公式HPでBライ講習会、関西で絞り込みをかけて検索してみると、いくつか出てきたが、講習会場に出向く必要があるものが多い。日時を指定されて講習会に出向くのは、ちょっと気が引けるなぁ・・と思っていたところ、その中で、オンライン講習会というのが目に留まった。
 これならわざわざ会場に出向く必要もないし、自分の隙間時間でも講習を受講できる。お値段も合計8100円と、ほかの講習と比較しても高くはない。

 これだな、ということでS弁護士は、まずはQ’s株式会社(チーム時間割)が開催しているオンラインのBライ講習会に申し込んだのである。

(続く)

年甲斐もなく・・(ライセンス取得記1)

 「あの~、Sさん、峠とかでドリフトとか、やんちゃな走りされてます?」
 「えっ!、私はもう大人ですから、そんな暴走なんてしてませんよ~」
 「でも、タイヤのゴムが溶けて、また固まった跡がありますよ」
 「あ~、ばれちゃいましたか、それはですね・・・・・」

 先日、愛車を点検に出した際の、整備の方とS弁護士との会話である。
 

 確かに整備の方が指摘するように、タイヤのゴムが溶ける走行体験をすることになったのは事実である。
 しかしそれは、峠をドリフトなどで暴走したわけではない。

 年がいもなく、国内Aライセンスを取ってみようと思い立ったからなのだった。

 時はさかのぼるが、S弁護士は、学生時代、かつて京大グライダー部の友人(現在大学教員)に誘われて、中嶋悟が日本人初のフル参戦をした際の日本GPを、鈴鹿サーキットまで見に行ったことがある。その後も、何度か、F1日本GPを鈴鹿サーキットまで見に行ったし、いまだにDAZN(有料チャンネル)でF1中継を見ているくらいなので、スピードに対する憧れはどちらかというと強い方なのだろう。

 もともと乗り物が好きで、学生当時超難関であった自動二輪車の限定解除を苦労して果たし(私は京都府の運転免許試験場で受験したが、その際には確か30人以上の受験者中、合格者は私だけだった。)、大型バイクに乗っていた際にも、制限速度を守ろうと思いつつも、若干+αのスピードで走行しがちではあった。

 もちろん現在は、20年ほど前に通行区分帯違反の反則行為をしてしまった以降は、無事故無違反の証、ゴールド免許であり続けている。

 しかし、当然のことながらバイクも自動車も公道では、その能力を存分に発揮することはできない。そんなことをしたら、周囲にとっては危険極まりないうえに大迷惑である。それに、免許証が何枚あっても足りはしない。
 だから、自動車には速く走る能力があるにも関わらずそれを発揮できないことになにか残念な思いを抱きつつ、いつか、自動車の持てる力をフルに発揮して全開で飛ばす走行を、1度でいいからやってみたいという気持ちを、S弁護士は心の奥底でボンヤリと持ち続けてきた。

 もちろん、「ええ歳こいて反射神経も衰えてきたおっさんが、何を今さらサーキット走行やねん」という常識論は痛いほど分かる。

 しかし、既に同級生の何人かが病気等でこの世を去ってしまい、やれること、やりたいことは、生きているうちにやっておかないとダメなんだ、という気持ちが年々強くなってきている。

 今年やらなくて、来年できるとは限らないではないか。

 調べてみると、サーキットを走るための講習等を受講してサーキットライセンスを取得すれば、サーキットでのスポーツ走行は可能であることは解ったが、同時にJAFの公認競技に参加するための資格である、ライセンスがあることも解った。

 JAFの公認競技に参加する予定は全然ないのだが、どうせやるなら形にも残るしライセンスを取ってしまおうと考えた。

 そこで、50歳半ばも過ぎ、「年甲斐もなく」と言われることは間違いないが、国内競技運転者許可証A(国内Aライセンス)を取得する方法を探し始めたのである。

(続く)