大学受験生の皆さんへ

 明日から、大学入試共通テストがはじまる。

 私も30年以上前、共通一次試験に臨んだことがあるので、直前の緊迫感はいまだに覚えている。

 特に私の高校(新宮高校)は、三重県との県境に位置しており、和歌山市にある和歌山大学に設置されていた試験会場には、JRの特急でも3時間以上かかったので、自宅から直接通う形での受験はできない状況にあった。
 そこで、高校では共通一次試験を受ける受験生のために、何人かの先生が引率して、前日から和歌山市内のホテル宿泊するというツアーを企画してくれ、それに参加する方法を採らざるを得なかった。
 当時の共通一次は国公立大学受験のための試験で、私の記憶では、三年生の約一割程度が共通一次を受けたように思う。

 試験時の印象は余り残っていない。おそらく、とにかく無我夢中であったということなのだろう。

 ずいぶん前になる私の経験が参考になるかどうか分からないが、受験では、諦めずに最後まで粘り倒すことが何より大事であると私は思っている。

 どんなに失敗したと思っても、大多数がもっと出来が悪い場合だってある

 私は京都大学法学部を現役・一浪と受験した。
 現役受験の時に確か5問中3問前後くらい解答できていた数学で、一浪受験時には一問も完答できなかった。
 京大の文系数学は確か一問30点の配点だったので、数学だけで現役時点より50点以上は低い結果になっていたはずだ。
 数学が終わった後は、頭が真っ白で、失敗した!もうダメだ!!と思い、しばし呆然としていた。仮にどんなに問題が難しくても、京大受験生は最低2問は解くだろうから、数学だけで50点以上も差がついてしまえば、他の科目で取り返すことなど到底無理だからだ。

 しかし、奇跡は起きうるのである。

 どういうわけか、その年の数学は異常に難しく、多くの受験生が数学で点を伸ばすことができなかった。そのため、数学が普通に得意な受験生も大した点数が取れていなかったようで、数学を抜群に得意としている一部の受験生を除き、数学では致命的な差がつかなかったのだ。
 私は、なんとか(おそらく滑り込みで)、合格ができたのである。

 京大で同じゼミだった、大阪の国立進学校出身の超優秀な女性も、入試の数学は全くできなかった、もうダメだと思った、数学が終わったときに泣きたかったと、私と全く同じ感想を述べていた。

 このように試験の結果というものは、受けた時点では分かりゃしないのである。仮に私が数学の失敗で合格を諦め、残りの科目を投げやりに受験していたら、絶対に合格はできていない。

 だから、ある科目で失敗したと思っても、引きずらず、次で自分の力を発揮することだけを考えるのだ。全ての科目が終わるまで、粘って粘って粘り倒すのだ。

 既に頑張っている皆さんに、敢えてガンバレとは言わない。
 受験生の皆さんには、絶対にあきらめずに、これまで貯えた力を十分に発揮してもらいたいと思っている。

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