離婚事件を手がけて感じる男女差~2

<記憶の違い~女性は細かいことを良く覚えることが出来る>

 これもかなり顕著な傾向と言って良いと思うが、女性は非常に細かい点まで詳細に覚えていることが多い。


 従って、陳述書などを作成する場合において、迫真性・具体性に富んだ内容のものを作成することが可能な場合が多い。迫真性・具体性に富んだ陳述書は、細かい事象を積み重ねて夫婦関係の崩壊を立証しようとする場合などには、大きな武器になる可能性が高い。

 但し、女性の記憶は、非常に詳細できめ細かいものなのだが、論理的に時系列的に整理されているかというと必ずしもそうではないことも多い。細部まできちんと記憶されているものの、ものごとの前後関係が明確でなかったりする場合もある。

 一方、男性の記憶の特徴は、ざっくり言えば、大まかな流れは把握しているが、細かい点においては欠落している、というものである。

 出来事の位置づけは流れに沿って矛盾なく整理できるが、その具体的内容については明確に思い出せない場合が多い。大体、こういうことがあったから、こんな感じのことがあって・・・・というような感じで、物事が生じた流れや顛末は分かるのだが、具体的な内容についてはボヤッとしか思い出せない人が多い。

 陳述書や証言などについては、もちろん刑事事件の調書のように具体性・迫真性がある方が信用される場合が多い。
 例えば、痴漢の被害者が、
 単に「大体○○駅から○○駅の間で触られたと思います。」と述べた場合と、
 「○○駅を出てから1分後くらいに、サングラスにマスクをした40代くらいの男性が電車の後方から近寄ってきて私に触れるくらいの場所に立ちました。なんだか息が荒くてハアハアしていたようだったので、私は嫌だなぁと思って、場所を少しドアの近くに変え、男性を見ないように外を向いて立ったのです。ところがその男性は・・・・」と具体的に真に迫った内容で記載された方が、この被害者の記憶がはっきりしている、本当のことを言っている可能性が高い、と考えてもらいやすいだろう。

 そういう点からは、女性型の記憶の方が戦いやすい面もある。

 しかし、男性型の記憶からは事象の流れの矛盾や、順序の不整合を指摘するという戦い方もあるので、必ずしもどちらが一方的に有利という決まった関係があるわけではないようにも思う。

(続く)

離婚事件を手がけて感じる男女差~1

 かつて、上記の内容でブログ記事を書いたことがあるのだが、ブログが消失してしまい、その記事は失われてしまったので、再度アップしておこうと思う。

 ただ、以前書いた記事が失われているため、以前の記載内容と若干異なる内容になるかもしれないし、あくまで私が感じた印象に過ぎないので、現実には違う場合もあるかもしれないが、そこはご了解頂きたい。

<女性は我慢づよい>

 離婚事件を扱っていて感じたことの一つとして、女性はとても我慢強いということがある。おそらく男性ならば到底我慢できないような状況でも、我慢できてしまうような強さを女性は持っていることが多い。私から見ても、こんなのとても我慢できないだろうなと思う状況でも我慢してきた女性は相当多い。

 しかし、男性としては、女性の我慢強さは弾力性とイコールではないことを、覚えておく必要がある。

 つまり、女性は我慢できるところまで我慢するが、我慢の限界を超えて切れた場合、もう2度と元に戻らない傾向が極めて強いのだ。

 我慢の限界を超えた女性からすれば、もう当該男性は人生の邪魔者でしかない場合が殆どである。

 ・夫の呼吸した空気が地球上に漂っていると思っただけで気分が悪い。

 ・できれば、今すぐこの世から消えてもらいたい。

 等と、我慢の限界を超えた女性からは、ちょっと男性陣からすれば驚くような内容の発言すら出てくる場合も希ではないし、殆どの場合それが我慢の限界を超えた女性の本心のようなのだ。

 女性側が離婚を求めて立ち上がった時点で、男性側としては、よほどのことがない限り、ほぼ元の鞘に収まる可能性はない、と考えた方がよいくらいだとすら思われる。

 一方、男性は、女性ほど我慢強くはないものの、離婚希望の弾力性は男性側の方が強い場合が多いように感じられる。だから男性から離婚を求めていても、その離婚希望を撤回する場合は、女性に比べれば多いように思われる。ただし、その時点で交際している女性などのように強力に妻との離婚を求める理由となる原因が存在しない場合に限定した話となるのだが。

 男性は比較的ノンビリしているというか呑気というか、女性側から完全に喉元に刃を突きつけられている状況におかれていても、「そうはいっても楽しい時間も一緒に過ごしたこともあったのだし」「悪いことばかり主張されているが、そうでないことも多かったはずだ」・・・等と現実離れしたノンビリした発想を持っていたりする場合もある。

 「そのような楽しい時間があったことをも考慮に入れたうえで、それでも、奥さんは結婚生活に耐えられないとしてあなたに離婚を求めているのです」、と何度説明しても、自らの体験を根拠に、「相手の弁護士が報酬を得るために離婚させようとしているのではないか」などと主張して納得できない夫もいたりする。

(続く)