関西も緊急事態宣言が解除されたが、私が非常勤講師を務めている関西学院大学では、まだ学生の登校が許されていないようだ。
文科省が、オンライン授業をするにしても、授業終了後速やかに、①「設問解答、添削指導、質疑応答等による十分な指導」を行うとともに、②「学生の意見の交換の機会」を確保する必要があるとの告示を出したため、大学側も苦慮しているようだ。
ちなみに、Zoom等が使用できないなどオンライン通信環境が整っていない学生がいることも想定されるが、それについては、最低限のチャンネルを確保して別途の対応を配慮してくれという、きわめて抽象的な指針しか出されていない。
幸い関西学院大学には、ネットワーク環境が比較的整っている部分もあったため、私は、事前に学生にアンケートを取ったところ、回答者は全員可能だとの解答であったため、今回初めて、オンライン授業(演習)をやってみた。
一応無料アカウントからは、1対多数のオンライン会議は40分が限度と記載されていたことと、初めての試みであることから、最初は40分に限って行うことにした。
結果は、やれないことはないが、相当厳しいのも事実だ。
私は、学生の理解を助けるために、板書したり、図解するなど、黒板を多用することが多い。私の場合、板書は、学生さんが理解できない点について理解を助けるために行うものであるため、一見分かりにくそうでも学生さんが理解していれば板書は不要だし、簡単そうでも学生さんが引っ掛かっている点があれば、板書でさらにかみ砕いて説明することもある。このようにどの項目を板書して説明するかは学生さんとのやり取りで決まるともいえるので、板書をパワーポイントなどで事前に準備することは不可能である。
もちろん法律に関する問題を扱っているので、裁判などの事例を説明する必要も出てくるだろうが、どのような事案についての裁判例なのかについて、文字だけの説明を読むよりも間違いなく図示したほうが、理解がしやすい。司法試験の短答式問題を解くときでも、論文答案を作る時でも、登場人物の法的関係を図示してわかりやすくするのは常套手段である。
また、学生がきちんとレジュメの該当部分を見ているのかについても、確認がとりにくい。
何より、学生の反応が読み取りにくいのが困る。
演習なので、学生の反応を見ながらヒントを出したりして誘導することもあるのだが、学生の反応が読めないとどこまで誘導すればいいのか判然としないのである。
また、私の演習では、六法をバンバン引かせるのだが、学生がどれくらい六法を引くのに手間取っているのかも分かりにくい。
1度の経験で何が分かるといわれるかもしれないが、現に大学受験予備校がサテライト授業として展開しているような、大教室講義型(一方通行型)の授業のほうが、オンラインではやりやすいのではないかと感じた。
あとで大学のメールアドレスからアカウントを作成すれば、zoomを無制限で使える可能性があると学生に教えてもらったので、来週からは、一コマ分きっちり時間を取って、学生さんに単位を付与しても大学や文科省に文句をつけられないようにしていきたいと思っている。
やはりいくら通信手段が発達しても、面と向かってのやり取りにはまだまだ敵わないのだろうと感じた一日だった。