本日の常議員会で、谷間世代救済?についての日弁連の動向が報告された。
谷間世代に対する日弁連会費減額案について、大阪は台風で常議員会が流れたこともあり、賛否留保で意見照会に回答していたが、全国単位会の照会結果は次の通りだそうだ。
賛成 33単位会
反対 14単位会
留保 5単位会
この結果から、日弁連執行部は会費減額による谷間世代への対応をを変更した方が良いと判断したようだ。一見、33単位会が賛成しているから、あっさり実現するようにも見えるが、実は反対・保留の内訳に問題があったのだ。
反対意見に東京弁護士会(会員数8269名)、保留意見に第1東京弁護士会(会員数5203名)、第2東京弁護士会(会員数5408名)、大阪弁護士会(会員数4566名)が含まれていたのだ。
上記の4会だけで、全弁護士数(40098名)の58.5%を占めており、執行部としては総会決議などで敗北することを恐れたのかもしれない。
しかし、執行部は会費減額に代わる案を検討していることが明らかになった。
それは、谷間世代弁護士に一律20万円を支給するという案だそうだ。
多分この案が実現すれば、効果のはっきりしない会費減額よりも、有難いと思う谷間世代の弁護士は多いはずだ。
執行部の株も、間違いなく上がるだろう。
だけど、ちょっと待って欲しい。
そのお金は、執行部の人が出したお金ではないのだ。
全会員の負担している日弁連会費から拠出されるのだ。
つまり、全弁護士の負担なのであって、執行部が感謝されるいわれは本来ないのである。
しかも、詳細はまだはっきりしていないが、国の政策の失敗なのに、どうして日弁連会費で尻ぬぐいしなければならんのか、一番肝心な部分がはっきりしていない。
例えば、規制緩和で法人タクシーを馬鹿みたいに増やし、その後、タクシー運転手の労働環境が悪化したからといって、再度規制をかけたりしていたけど、そのタクシー運転手の被害に対して法人タクシー業界が自腹切って何らかの補填をするなんてことは、普通ではありえないと思うんだけどな~。
そこのところをはっきりせずに、単に可哀相だとか不公平ではないとかいう理由では、全弁護士が負担することを正当化するだけの理由にはならんと思うんだけど。
もちろん、既に弁護士になっている谷間世代に対する対応だから、今後の新規法曹希望者を増やす理由にはならないし。
はっきりいえば、谷間世代に対する救済を日弁連や各弁護士会がやろうとしていることは、他の世代を犠牲にしていることと等しいのだ。
そのような犠牲を谷間世代以外に強いておきながら、日弁連とか弁護士会への求心力を強めたい・・・なんて、分裂を深めてるだけじゃないの?
求心力が欲しいなら、日弁連や弁護士会は本当に弁護士のために頑張ってくれているんだな~、大事にしなきゃあかんな~と、それぞれの弁護士に実感させるのが一番だ。
本当に谷間世代を救済したいのなら、日弁連執行部と有志で基金を作ったらいいじゃないか。その方がずっと日弁連執行部への求心力は高まるはずだ。そうそう、会長選挙前に派手に旗揚げしていた「広げよう!司法の輪 日弁連の会」なんかは、今の日弁連会長が代表だったし、きっと基金に協力してくれるはずだぞ。
日弁連の対応は、私から見れば、なんかずれているとしか思えない。