本日の常議員会で、昨年12月に司法修習を終了した者の進路についての報告があった。
2回試験合格者1563名
裁判官として任官する者 65名 ←この少なさは現在分析中とのこと。
検察官として任官する者 67名
平成30年1月11日時点で弁護士登録した者 1275名
したがって、1月11日時点でも司法修習を終了したにもかかわらず就職先がない者、即独もしていない者の人数は156名となる。
およそ10%の者が、通常就職可能な時期から1ヶ月経過しても、就職も独立もできていないことになる。
朝日新聞が昨年11月28日付夕刊で、「企業にモテモテ 法科大学院」との記事を掲載していたことを、ご記憶の方も多いだろう。そんなにモテモテなら、法科大学院卒業生は引く手あまたのはずで、就職出来ない事態など考えられないはずである。
法科大学院卒業生の司法試験合格率は昨年のデータによる単純計算で6308人中1253名だから、(運・不運はあるものの)大まかに言って、法科大学院卒業生のうち成績が良い上位20%弱が司法試験に合格したと考えてよいだろう。
企業だって、法科大学院卒業生のうち、成績のより良い人材を雇用したいと考えるだろうから、モテモテの法科大学院卒業生のうち、司法試験に合格している人材は、更にモテ度が高いと考えても、そう間違いではないと思う。
ところが、その法科大学院卒業生の上位20%弱が司法修習を経て弁護士としての資格を得ても、10%が就職もできずに職にあぶれている状況なのだ。
企業にモテモテのはずの法科大学院を卒業し、法科大学院卒業生としてもおそらく上位の成績を有し、弁護士資格まで有している人材のうち、10人に1人が、職に就けていない。マスコミで人材難が報道されているこの時代に、である。
司法試験に合格出来なかった法科大学院卒業生の就職戦線の厳しさは推して知るべしだ。単に法科大学院卒業というだけで、企業にモテモテなんて、そんなお気楽な現状は、修習生の就職状況に鑑みれば、おそらく存在しないだろう。
いくら、広告を打ってくれるお得意様の法科大学院に対する援護射撃とはいえ、あまりにも現実離れした報道で世論を誤導するのは、いかがなものかと思うぞ。