日中韓FTAシンポジウムの旅日記~その2~

(続き)

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(上空より見る明石海峡大橋)

 ところが、離陸してしばらくして分かったのだが、この中国人の子供が難敵だった。

 子供のくせに肘掛けに両手を乗せて、両側の肘掛けを占領する、もたれ掛かってくる、靴を履いたまま横座りをして、靴底をこちらのズボンに押しつけてくる・・・など、かなり傍若無人。

 日本に旅行に来ている中国人なので、きっと富裕層なのだと思うけれど、マナー悪過ぎやろ。
 金はあるけど他はないよ、って感じと違うか。
 このままではろくな大人になれんぞ。日中友好にヒビが入るぞ!と心の中でぼやく。

 ゴン、と軽い頭突きを食らったほどに、余りに勢いをつけて、もたれ掛かられたので、さすがに、一度だけ肩をつついて日本語で注意したが、どこまでわかったものやら。母親も知らんぷりだ。途中で寝てくれたから良かったものの、そうでなければ、機内でかなりのストレスがかかったはずだ。

 昼食はえびとホタテのドリア、野菜、肉団子、小さなパンケーキとなぜかブルボンのあられの小袋。熱々のドリアが食べられるのも電子レンジのおかげだなぁ~と思いつつ、しっかり食べる。日本茶をもらい、うたた寝をしたりしていると、もうチンタオだ。

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(昼食のドリアなど)

 着陸態勢に入ると、山が見える。日本のように山全体が緑に覆われている感じではなく、岩肌が結構見えているところが面白い。概ね飛行時間は2時間50分くらいか。

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(関空から青島までの飛行ルート)

 時差はマイナス一時間。結構暑い。

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(青島付近の山の様子)

 入国手続きの書類を機内で書く際に、宿泊先については、まだGさんから聞いていないとX教授。「地球の歩き方の一番上に載っているシャングリラホテルでいいよ、それに入国目的は「観光」にチェックしておいた方が問題が生じないからいい」、と、経験から得た対処法を教えてくれる。

 何事にも先達あらまほしきものなれ。経験者の言うことの方が基本的には正しい。特に相手は中国。人民軍がいるところだ。用心するに越したことはない。X教授のお話を反対解釈すれば、観光以外の記載だといろいろ聞かれて面倒になるということだろう。問題が起きかねない道は避けるべきだ。結局X教授のご指導に従って、事実とは異なるが、目的:観光、青島での宿泊先:シャングリラホテル、と記入することにする。

 ホテルの漢字表記を記載するためにX教授から借りた地球の歩き方のコピーを参考に、シャングリラホテルと記入する。

 しかし、そのお借りしたコピーを機内に忘れてしまった。早速やらかしてしまった。平謝りのS弁護士だったが、X教授は笑って許してくれた。

 入国審査場では、なんだか人民軍の制服を着たような人が、無表情でパスポートの表紙を見て「そっちへ行け」とばかりに、指をさす。入国審査官も人民軍の制服のような服を着用している。どちらの人も、どこかで訓練してきたかのように、無表情だ。

 S弁護士はひげ面である。特に最近はおつむの毛が寂しくなってきたせいもあって、髭は大事にしている。しかし、ある学校で職業講話をしたときに、その髭のせいで教室に入った際に、「弁護士が来た~」ではなく、「タリバンが来た~」と中学生に騒がれた経験があることも事実である。しかも、今はイスラム国によるテロも多発している状況にある。

 「おい、おまえ、生意気にもヒゲ面しやがって、見るからに怪しいな。本当に、シャングリラホテルに泊まるのか?本当に観光なのか?」などと入国審査官から聞かれて、「すみません。嘘ついていました。本当は学会参加でホテルも未定なんです。」と本当のことを言ったら、やばいような気がする。そのときはX教授に強要されたと言えば助かるかもしれんが、自らの非を認めない奴として、逆に重く処罰されちゃうかも・・・と少し緊張したが、入国審査は審査官の無表情と無言のまま、特に問題なく通り抜けることができた。

 荷物はせっかく「壊れ物あり」にしたのに、3人の中では一番遅く出てきた。まあこういうときもあるさ。荷物を受け取ったあと、入国者出口から空港のロビーに出る。中国語や韓国語のプラカードを持っている人が何人かいたが、日本語のプラカードは、見あたらない。遠くにマクドナルドと味千ラーメンの看板が見える。

 しばらくしても迎えにきているはずのGさんが来ない。X教授がライン?のようなアプリを使って、連絡を取っているが、上手く連絡できない様子だ。10分ほどして、Gさんともう一人の方がやってきた。

 お話によれば、Gさんは、X教授の教え子で、山東政法学院で先生をしているとのこと。もう1人は、青島の有力弁護士野ところに勤務する、Kさんという弁護士になってすぐの人とのこと。お二人と挨拶した後、Kさんのボス弁の所有だというレンジローバーにのせてもらって、チンタオ駅方面に向かう。

途中、でかい橋を見る。なんでもアジアで一番大きな橋だそうだ。

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(Gさんの説明によるとアジアで一番長い橋)

 道路には、日本車、ドイツ車、韓国車、フランス車まで走っている。走っている車だけを見れば、ヨーロッパの道路と変わらない。その昔、NHK特集「シルクロード」で見た中国とは完全に違う。わずか数十年で、経済的に、ものすごい進歩を遂げているのだろう。

 高速は風がひどい。結構ほこりっぽい感じもする。

 しかし、暑いから窓を開けておく方が良い。額から頭頂部にかけて、かなり寂しくなってきたS弁護士の頭髪を、ほこりっぽい風になぶらせながら、車は青島市内へと向かう。

 列車の時間が15:19ということで、「3時間近くあるので食事にしますか」とGさんが提案する。遠慮した方が良いのか迷っていると、X教授が「機内で食事をしたばかりなので、お茶で良いよ」とさくっと指令を出す。

 おお、さすがにX先生、師匠って感じやな。。。。と、X教授を頼もしく思うS弁護士であった。

 青島市内はドイツの居留地でもあったこともあり、欧風の建物がたくさんある。中国語の看板さえ見なければどこかのヨーロッパの町並みと言っても通用しそうだ。

(続く)

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