フォーミュラー・ワン、通称F1は、自動車レースの最高峰だ。
私はこれまで、中嶋悟選手がロータスホンダで参戦した日本GPを始め、これまで5回ほど鈴鹿サーキットに足を運んで観戦したことがある。最近は、地上波でもBSでも無料の放送がなくなってしまい、日本での人気が凋落しつつあるとも言われているが、やはり最高峰の自動車レースであることは誰も異議を述べないだろう。私は、F1は好きだが、無料のテレビ放送がないことから、最近はインターネットで結果を確認するくらいにしていた。
今年、最終戦まで、チャンピオンを争っていたのは、ルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグだ。ともにメルセデスAMGという現時点での最強チームのチームメイトだ。
獲得ポイント状況は、ロズベルグがリードしており、ハミルトンは最終戦で優勝し、なおかつ、ロズベルグが4位以下になれば、逆転で年間チャンピオンが転がり込む、という状態だった。
予選1位でポールポジションからスタートしたハミルトンは、順調にトップをキープして走行するも、ロズベルグも2位を守って譲らない。
報道によればレース後半で、問題が起きたそうだ。
ハミルトンはチームのペースアップ指示を無視してペースを上げない。つまり、ロズベルグの後方にいたマシンがロズベルグのすぐ後ろまで迫ってこれるように仕向けたのだ。
ハミルトンとすれば、メルセデスチームのコンストラクターズ優勝は決定しているのだし、遅く走ってはいけないというルールはないのだから、自分がチャンピオンになれるあらゆる可能性を追求するという意味において、正当な理由があるということになろう。
一方、ロズベルグとすれば、もっと早く走れるのに、わざとロズベルグを抜かせない程度に遅く走って、後続のマシンに追いつかせてプレッシャーをかけるやり方は、正々堂々のチャンピオン争いと言い難い、と考えても不思議ではないだろう。
私は、ハミルトンのやり方はあまり好きではない。
表向きの理由としては、そもそもF1は早さを競うレースなのだし、仮にメルセデスのコンストラクターズ優勝が決まっていたとしても、もしハミルトンの行為の結果、ロズベルグが順位を落とした場合、チームが獲得できたはずのポイントが減少することになるからだ。
心情的に納得がしにくいという面もある。報道等から推察するに(真実は違うのかもしれないが)、ハミルトンの今回の作戦は、勝ちさえすればどんな手段を使っても構わない、という勝利至上主義に近い行いのように、私には見えてしまうからだ。
勝つための努力として、自らを高める方向の努力・作戦は素晴らしいと思う。しかし、他人を陥れる方向の努力・作戦は、仮に結果として自らの勝利を得たとしても、正当なものとは言えないし、何より本人がすっきりしないように思うのだ。
どのような方向の努力であれ努力に差はないと言って良いのか。
それとも、私が、甘いのだろうか。