依頼者保護給付金制度の対案

 依頼者保護給付金制度について、大阪弁護士会でもどのような意見を出すか、常議員会で検討中だ。しかし、各種の問題点が指摘されていることは間違いない。

 ツイッターでも呟いたが、そんなに問題が指摘される制度を導入しようとするなら、まず試しに小規模にやってみて問題点を洗い出した方が良い。一度制度を導入してから問題点が発覚して「やっぱり止めます」ということになった方が、日弁連の信頼をより損なう危険が高いし、制度を一旦導入した以上、撤退することは相当困難になるから、どれだけ弁護士会財政に打撃が及ぼうとも体面を気にしてずるずる撤退できずに弁護士会財政に危機をもたらすおそれもないではないからだ。

 特に私の見たところで恐縮だが、日弁連執行部の先生方は体面を気にする方が多いように見受けられるので、制度を一度導入した以上、仮にその制度に大きな問題点が発覚したとしても、少なくとも自分の任期中は撤退したくないとして、ずるずると継続してしまう危険性は極めて高いだろう。

 そこで対案だが、日弁連執行部で本制度に賛成の方々がポケットマネーでまず試行して頂くというのが最も良いのではないか。
 弁護士の多くを占める若手の多くも反対だという情報もあり、制度に反対する人も強制的に徴収される弁護士会費を財源にするのでは、不公平感や不満は溜まるばかりだ。仮に、弁護士会内部で世代間の不満が爆発すれば、日弁連は一体性を失い、弁護士自治などと言っていられなくなる可能性すらある。

 日弁連執行部は会長・副会長併せて14名だし、私の見る限り功成り名を遂げた立派な先生方ばかりなので、お一人200万円出して頂いたとしても、司法書士の有志が成年後見制度不祥事に関して準備している年間2000万円の見舞金規模を800万円も上回る規模の給付財源が生まれる(全員給付金制度に賛成していると仮定しての試算)。それに制度に賛成する過去の日弁連会長にも寄付をお願いすればもっと財源は豊かになる。

 依頼者保護給付金制度導入が日弁連の選択として正しいと信じるのであれば、問題点を指摘する人や反対する人の財布をあてにせずに、まず正しいと思う人だけでやってみればよいではないか。
 被害者にとっても、エライ先生方のポケットマネーから見舞金が出たと知れば有り難みも増すかもしれないし、なにより、依頼者保護給付金制度が当初の目的を果たさないと分かったときに、「なにぶんポケットマネーですから」ということで撤退しやすい。

 それに、自身の栄達だけではなく弁護士界全体のことをおもんばかって執行部役員に立候補した方ばかりだろうし、その中でも給付金制度に賛成した方なんだから、まさか、制度には賛成するが自分のお金は出したくはないとはいわないだろう。だから、確実に資金も集まるはずだ。
 さらに、制度を実行しようとする人達が率先して自ら動けば、若手会員の不満も解消に向かうだろうし、世代間対立の緩和にもつながる。

 なにより、万一、依頼者保護給付金制度が弁護士会全体に利益をもたらすことが想像ではなく事実の上で明確になれば、その制度導入の際には、全会員の納得も得られやすいはずだ。

 決しておかしな対案ではないと思うがどうだろうか。

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