くっだらない日弁連ニュースはもうやめたら?~

今日も日弁連ニュースが届いた。
特別対談:村越会長×若手会員
と題してまあ、予想通り、予定調和的な執行部支持の内容で書かれている。

はっきり言おう。
日弁連ニュースと題されているが、その実態は、来る3月11日の日弁連臨時総会において、日弁連執行部案への賛成を募るビラである。

正直言ってくだらない。

会員の会費を使ってこのようなビラを、しかも何度も送りつけてくることは、決して安くはない日弁連会費を負担している会員としては、賛成できない。ウチの紙とプリンター料金を無駄に使わないで欲しいと言いたくなる。

 要するに、「3月11日の日弁連臨時総会には、日弁連執行部案に賛成してね。負けると恥ずかしいからね。」ということらしい。

 もし、執行部が自らの執行部案に自信があるなら、堂々と臨時総会請求者と討論・対談すればよいのだ。それも公開討論会形式で、ネットで全会員が視聴できるようにすればいい。おそらく、執行部の意図する回答をするであろうと目される若手会員を選抜して行う対談など茶番だ。そんなことでお茶を濁さず、請求者側に賛成する若手会員と対談するという方法もあるだろう。

 執行部は、企業内弁護士がここ10年で10倍に増えたと述べているが、実数で見るとようやく1400人弱だ。裁判所データブックによると平成17年の弁護士数が21205名であり、現在の弁護士数が37704名だから、ここ10年で弁護士数は16500名ほど増えている。残り15000名の弁護士が活躍する分野は見つかっているのだろうか。企業内弁護士が増えれば、これまでの顧問弁護士が削られていくことは明らかで、企業内弁護士の増加は、諸刃の剣と見るべきだが、そんな考察は一切していない。

 とにかくお気楽な内容としか言えない。

 裁判所の新受事件数は、ここ10年で民事行政事件で約171万件あまり減少(▲約55%~半分以下)している。刑事事件も約59万件の減少(▲約37%)、家事事件は20万件増加(△30%)しているものの、少年事件は約15万件以上減少(▲約58%~半分以下)、破産事件も約18万件も減少(▲約67%~半分以下)しているのだがな。

(追記※念のため付言すると、10年間合計で減少した数ではない。つまり10年前に1年間で裁判所が受け付けた事件数と、ここ1年間で裁判所が受け付けた事件数とを1年単位で比較すると合計約250万件近くも減少しているということだ。1年間の比較だけで、10年前より250万件も裁判所の事件が減って、その間に弁護士数が企業内弁護士を除いて約15000名増加しているわけだ。その昔だが、独立した弁護士は少なくとも年間2500万円は売り上げなければと聞いたことがあり、仮にそれが合格ラインだとして単純計算すると、弁護士市場の規模は10年前に比べて2500万円×15000名=3750億円程度の拡大が必要になる。これから毎年1000名の弁護士が誕生すると仮定すれば、更に毎年250億円ずつ市場規模が拡大していく必要があることになる。しかもこれは弁護士の売り上げだから、実際に事件化する場合の訴額(分かりやすく言えば当事者同士で争う額)は、大雑把に見積もってもその10倍以上でないと足りない。国家予算が96兆円の国で、1年間に3兆円以上もの法的な争いが生じ、しかもその争いが毎年2500億円ずつ増えていく国など狂っているとしか思えない。また実際には、1年間の裁判所の事件数が250万件も減少している現状で、どうやれば、これだけの弁護士市場の拡大が見込めるというのだろうか。)

対談している若手会員の方は、 「新しい分野に目を向けることが大事、今までにない働き方で弁護士の力を発揮していけば弁護士の活躍の場を更に開拓できるのではないか」などと日弁連執行部のように気軽に仰るが、弁護士の仕事の中心である裁判所関係の事件がこれだけ減少している上に、弁護士人口が僅か10年で15000名も増えていることを本当に分かって言っているのだろうか。日弁連だって随分前から業務改革だ何だと言って活動してきてこの有様なのに、画期的な弁護士の活躍の場なんてそう簡単に見つかるものなのだろうか。そもそも法曹人口増加も大した根拠もなく適当に決められていたことが、法曹養成制度改革顧問会議でも明らかになっているのだが、そのことを知らないのではないだろうか。

 それに、弁護士が増加しても職業としてなり立つということは、それだけ社会にリーガルコストの負担を強いることになる。国民の皆様は、それだけのリーガルコストを負担する覚悟をお持ちなのだろうか。

 なにより、弁護士が魅力的な仕事であれば、志願者は殺到するはずだが、志願者は減少の一途である。現実は既に、弁護士会執行部、執行部に賛成する若手会員よりも遥かに先を行っている。幾ら彼らが弁護士の仕事が魅力的だと強弁しても、仕事は生計を立てる手段である。仕事がどんどん増えて収入が見込める仕事であるなら、志願者は殺到するはずだ。法科大学院の時間的経済的負担を強いられても、将来的にその負担以上の、より大きなリターンが見込めるなら志願者は減少するはずがない。

 現実を見なさい。理想にとらわれて現実を見ないのでは、社会では相手にされませんよ。

 誰か日弁連執行部に言ってやって下さい。

 あなたは裸の王様である、と。

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