司法試験委員が法科大学院に求めるもの~国際公法~

今回は国際関係法(公法系)を取り上げる。

(以下、採点実感に関する意見から引用)

4 法科大学院教育に求めるもの
法科大学院教育に求めるというほどのものではないが,採点して感じた最近の答案の傾向に1,2触れておきたい。第一に,国際法に関する基礎的な知識,すなわち国際法の基本的な概念や規則・原則について,その内容を正確に理解しかつしっかりと身に付けることの重要性を繰り返し強調しておきたい。一概にはいえないが,国際法の基礎的な知識を全般的に有しており,国際法判例や事例についても重要な論点を押さえつつ学習している者と,教科書の内容を記憶してはいるが関連する国際法規の成立根拠や実際の適用例などについて十分理解ができていない者との間の差が開いている印象を受ける。基本的な国際法判例まで学習の範囲が及んでいないか,又は一通り読んではいるが,重要な論点に対する判例の内容を把握し切れていないと思われる答案も相当数あった。国際公法を選択する受験者に対して一言述べれば,選択科目に割くことのできる学習時間には限りがある中で,国際法のテキストに共通して記載されている基本的事項及び基本的な判例集に掲げられている判例等について,内容をしっかり理解して学習してほしい。第二に,設問に対して結論のみを書いてその理由付けをほとんどしていない答案が毎年相当数ある。同様に,答案の論理構成をしっかり考えた上で読み手に分かりやすい文章を日常から心掛けるようにしてほしい。全体の論旨が読み取りづらい解答や国際法規則の設問事例への当てはめをどのように行ったのかが不明瞭な解答が今年も少なからずあった。規則の解釈にせよ,具体的事例への当てはめにせよ,法科大学院の学生には根拠付けや論理的整合性に注意する姿勢を日頃より身に付けるようにしてほしい。

(引用ここまで)

【超訳】~試験委員が言いたいことを推測しての私の意訳

4 法科大学院教育に求めるもの

 採点しとって感じたことについて一つ二つ述べたいねん。

 第1に、国際法に関する基礎的な知識、まあゆうたら国際法の基本的な概念や規則、原則について、内容を正確に理解ししっかり身に付けておいてほしいんや。応用ちゃうで。基本的な部分を、や。繰り返し強調するってことは、なんべんゆうても、出来てへんちゅうことやから、よっぽど気張ってもらわなあかんで。きちんと勉強ようしとる、ごく一部の者と、教科書はある程度覚えとるけど、なんで国際法規が成立しとるんかっちゅうこととか、実際に使われた例について十分理解出来とらん大勢の者との差がどんどん開いとる。基本的な国際法判例まで全然勉強できとらへんか、一通り読んでるかもしれんけど、重要論点に関する判例の内容を理解でけてへんような答案が、かなり仰山あったんやで。

 確かに国際公法は選択科目やし、あんまり時間かけられへん科目かもしれん。せやけど、国際公法を試験科目として選択するんやから、せめて教科書に普通載っとる基本的事項、基本的判例集に載っとる判例くらいは、内容をしっかり理解して勉強しといてほしいねん。ええか、やっといて欲しい言うてるのは、基本的な事項・基本的な判例やで。応用ちゃうで。誰でも理解しといてもらわなあかん部分やで。
 

 第2に設問あるわな。その問に対して、結論しか書かへん答案がかなりの数あるんや。今年だけ違うで、毎年毎年、かなりの数の答案が結論しか書いてへんねん。法律家っちゅうたら、理屈で相手を説得せなあかんのやろ?それやのに理屈も理由も無しに、結論これですわ、ゆうても誰も納得せえへんで。裁判で理由も無しに負けさせられたら誰が納得するかいな。答案の論理構成をしっかり考えて、読んどるもんに、分かりやすく説明できるよう日本語を磨かなあかん。読んでもなに言うてんのか分からん答案や、どないして国際法規を問題の事例に適用しとるのかさっぱり分からん答案も、結構あったんやで。今年だけやのうて、前からやけど、だんだんひどうなるな。

 規則を解釈するときも、具体的事例に適用するときも、法科大学院の学生さんは、きちんと根拠付けすることや論理的に矛盾せんようにすることに日頃から注意せなあかんで。これは逆に言うたら、きちんと根拠付けせん奴や、論理的矛盾があっても平気で矛盾のまま論じとる奴が、多いっちゅうことや。

 一体どないになっとんのやろうな。

(続く)

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