司法試験委員が法科大学院に求めるもの~公法系1

平成26年司法試験に関して、採点実感等に関する意見が公開されている。

最近は昔に比べて法科大学院に配慮した内容の意見が増えてきてはいるが、よく見ていけば、司法試験委員会が今の法科大学院教育に決して満足していないことはよく分かる。

各論を見ていけば、もっと問題を端的に指摘している意見もあるが、今回は、司法試験委員が法科大学院に求めるものに注目してみたい。

【公法系第1問に関して】

今後の法科大学院教育に求めるもの

昨年度と同様であるが,判例及びその射程範囲が理解できていない答案が目立った。それゆえ,「法科大学院教育に求めるもの」として,昨年度と同じ指摘をしたい。
法科大学院では,実務法曹を養成するための教育がなされているわけであるが,その一つの核をなすのは判例である。学生に教えるに当たって,判例への「近づき方」が問われているように思われる。
判例の「内側」に入ろうとせずに「外在的な批判」に終始することも,他方で,判例をなぞったような解説に終始することも,適切ではないであろう。判例を尊重しつつ,「地に足を付けた」検討が必要であるように思われる。判例の正確な理解,事案との関係を踏まえた当該判例の射程範囲の確認,判例における問題点を考えさせる学習の一層の深化によって,学生の理解力と論理的思考力の養成がますます適切に行われることを願いたい。

(引用ここまで)

さすがに一流の学者・実務家が書いたものだけあって上品だ。

これを、あまり品が良くない私が、言いたいことはこうだろうな~と推察して意訳するとこうなる。

法科大学院に言いたいねん

 去年も言うたんやけど、判例そのものと、その判例がどこまで及ぶのかについてが、全然理解できてないねん。せやから、くどいようやけど、もう一回言うで、よう聞きや!
そもそもお宅ら法科大学院ちゅうところは、実務家を育ててはるんやろ、それやったら実務でめちゃくちゃ大事なことは判例や、ちゅうことくらいよう分かってんのんと違うの。学生に教えるにあたって、判例をどう思って教育しとんねん。
 受験生の答案見とったら、判例分かってへんねん。判例の中身を吟味させんと、形式論理的な批判ばーかりしてもあかん。もちろん、形式的に判例を解説しただけやってもあかん。まさかそんなんばっかりしとるんと違うわな?でもそうなんちゃうかと疑うでホンマ。判例は大事やねんから、しっかり尊重してじっくり教えてあげなあかんやろ。
 判例の正確な理解も、事案との関係も考えたその判例の及ぶ範囲も確認できてへんし、判例の問題点を考えさせるなんてできてへんわな。考えさせる学習(教育?)ができてへんわな。答案見たら分かるけど、学生の理解力も論理的思考力もたりてへんねん。ホンマしっかりやってくれることを切に願うで。

実務家にとって判例は極めて重要であるが、その肝心の判例が分かっていないという指摘は、毎年のようにいわれている。理論と実務の架橋を標榜しながら、未だに司法試験委員を満足させる結果を、法科大学院は出し得ていないようだ。

(続く)

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